真っ直ぐに掴んでしまう手 | ふわり、言の葉|鵜飼秋子

ふわり、言の葉|鵜飼秋子

言葉が、ふわり、想いとなって届きますように。
本質的な叡智のバトンに参加しながら、人という存在のこと、そこに流れる人生のことを綴っています。あなたの人生を選択する道しるべとなることを願って。

「だから結構長らく、鳴かず飛ばずで…」
 

と苦笑した彼は
北九州市若松区で農園を経営しています。

 

農業をしているのだけど

彼はいわゆる農家なのではなく

人が集まる農園を目指し農業をすることになりました。

 

 

 

 

 

 

 彼が20代前半で脱サラし、

こうして農園を始めるに至るまでは紆余曲折、

かれこれ20年程あったそうで、

 

「農業は好きですか?」

 

と聞くと

 

「それが、好きじゃないんですよ」

 

と言い

 

「ちゃんと計画立てて実行って、

やれないんですよ、向いてないと思うし…

でもぱっと見、ちゃんとやりそうだから、ほんとタチが悪くて」

 

そして

 

「僕、会員さんに幻滅されるんですけど、ジャンクフード大好きですし」

 

とさらに苦笑しました。

 

 

 

そんな彼がなぜ農業をすることになったのかというと、それは本人が選んだのかどうかもよくわからない流れで、ここに行きついてしまったという感じで。

 

 

前は広告業をしていたというし、

そのときのビジネスパートナーや

そのあと出会った社長さんや

さらにまた共に歩こうとしたビジネスパートナーは、もう、ここにはおらず

 

なぜか彼がひとり残って

農園をするということになった

 

そんな流れだったように記憶しています。

 

 

 

 

「昔はいいクルマに乗りたい

とか思ってたんですよ、でも今は

お金が沢山欲しいみたいなことはどうでも良くなったんです」

 

 

野菜を素手で触り、

確認しながら掘りだす彼をみて

 

「おいおい、農業ぴったりじゃないか・・」

 

と私は思いました。

 

 

 

 

農園は会員制で、少量多品目で

年間120品種ほどの野菜を作っています。

 

畝ごとにさまざまな野菜が育つ畑を眺めると

出荷を目的とするのでなく

見て楽しい、体験して楽しい場所にしようとしているのがわります。

 

BLOFという農業理論を、実践しているそうです。

 

 

 

彼が私にメッセージをくれたきっかけは

実はSDGsでした。

SDGsを知りたくて私に連絡をくれたようです。

  

 

でも私は

SDGsのことはほとんど喋らなかった。

 

 

 

「ちょうど、これからが農園のターニングポイントなんです」

 

 

 

そう語る

 

彼の人生を

SDGsに費やす暇はないと思ったからです。

 

 

 

私は

彼にツールとして最適なSDGsの使い方だけを伝え

 

「まずもって今、本当に必要なことはなんですか」

 

と尋ねました。

すると彼は迷わず

 

情報発信です

 

と答えました。

 

 

 

この農園のあり方がうまくいけば、

従来の農業に行き詰った農家を救うことができるかもしれない

 

 

 

そう語る彼に

SDGsの中身をあらためて教える必要はなく

 

「ぜひ、想いを発信してください」

 

とだけ伝えました。

 

 

 

 

私たちは

 

どこまで続くかわからない森の中を歩くとき

どこへ向かうかもわからない海原を渡るとき

家のあかりを、灯台を見つけようとします。

 

それは当たり前のこと。

 

道しるべがなければ、進むことすらままならないのですから。

 

 

 

でも彼には

 

社会の中で価値があるとされている
メリットや、青い夢や、有益な情報じゃなくて

 

 

その手で、しっかり人をつかんで欲しい。

 

その先に

あなたが見たい場所がきっと広がるのだから。

 

 

 

 

 

彼の真っ直ぐな視線を見つけて

 

これからの彼と農園が本当に楽しみになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人参にこんなにたくさんの色があるとは知りませんでした。

農園で育てている野菜は、珍しいこだわり品種が多く、収穫する楽しさもあります。

 

北九州市若松区安屋にある「アグリゾート農園」さん。

FB https://www.facebook.com/agresort.info/

インスタグラム @agresort.jp

 

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