★尾形光琳「紅白梅図屏風」金箔?金泥?

金箔好きにとって重要なニュースが!
MOA美術館で東京理科大教授が最新機器使い調査
「金箔を使っていた」との調査結果が示された「紅白梅図屏風」=1月31日、熱海市のMOA美術館で |
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江戸時代の画家・尾形光琳の代表作で国宝「紅白梅図屏風(びょうぶ)」の制作技法・材料についての研究会が14日、作品を所蔵する熱海市のMOA美術館であった。最新機器を使って調査した東京理科大の中井泉教授(分析化学)は「屏風の中央を流れる川の部分全体に銀が存在し、背景の金地部分は金箔(きんぱく)だった」と結果を発表。6年前、金箔や銀箔を使わずに描いた作品だと分析して話題となった東京文化財研究所の調査結果とは異なる内容となった。
中井教授と研究室スタッフは昨年、デジタル顕微鏡、ポータブル粉末エックス線回折計など4種類の高感度分析装置を持ち込み、調査した。同教授によると、金地部分は粉末エックス線回折測定による結晶の性質などから「金箔」と判断するのが妥当とし、屏風絵の常識を追認する調査結果となった。東文研の調査では、金粉を膠(にかわ)で溶いた「金泥」を塗った可能性が高いとしていた。
また東文研が「金属元素は一切検出されなかった」と発表した川の銀白色の部分については「特に銀の量が多く、金属状態の銀が検出された」と正反対の結果を発表した。
このほか、白梅は牡蠣(かき)胡粉、紅梅は水銀の原料になる辰砂(しんしゃ)を使っていることなどを明らかにした。
異なった調査結果が出たことについて、吉備国際大の下山進教授(分析化学)らは「ここ数年で格段に機器の精度が向上し、エックス線回折を取り入れたことも挙げられるのでは」と話している。
「紅白梅図屏風」は3月8日まで同館で展示されている。(中日新聞)
金の結晶の向きがそろっていると金箔であると言えます。
◆紅白梅図屏風=各156センチ×172・2センチの屏風に紅白の梅を描く。1716年に没した光琳の晩年の作とされる。明治時代以降、傑作と評価される一方、水流部分の技法などで研究者らが議論を続けてきた。
このブログやmixi日記を書く前は、あまり日本美術についてはフォローしていなかったので、6年前の発表については存じませんでした。けれども、以前クリムトについてこのブログで書いたとき に、
「金箔と思われていた部分は、じつは金粉をにかわで溶いた金泥のようなもので、金泥だけでは金色が出ないために、下地に黄色の有機染料が塗られていた。銀箔とおもわれていた部分は藍などの有機染料だった。」
とこの説を紹介しているので、6年前の発表時からかなり注目されていた説だったのでしょう。
わたくしは、学生のときに目にした屏風や障壁画などで、格子のように見えるのは、素直に金箔や銀箔だと思っていました。金沢に金箔貼りに行ったぐらい金箔好きですから!

尾形光琳についてはみなさまに説明の必要はもうないでしょう。
他に有名なのは、きっと教科書などで一度は目にしたことがあろう「燕子花(かきつばた)図屏風」や『八橋蒔絵硯箱』


わたくしが再び出会ったのは、卒業論文でクリムトについて書いていたとき。
クリムトの「ダナエ」や


わたくしの大好きな「アデーレ・ブロッホバウアー」 には、紅白梅図屏風と似た構図が見られますね。

クリムトが日本の影響を受けていたこと、さらにいえば、ウィーンには、浮世絵よりも、着物の「型」が多く入った ことをよく示しています。尾形光琳が京都の裕福な高級呉服商の息子であり、その構図にしばしば染物模様のように同型を繰り返し使うこと(型置き技法)が見られるため、自ずと似てきてしまったのではないかとも思います。
神の雫22巻にクリムトのワインがあります。
紅白梅屏風の展示は3月8日まで。MOA美術館です。
http://www.moaart.or.jp/exhibition.php





