日中関係を斬る
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靖国神社参拝に対する中国の反応を見る

8月15日午前7時45分ごろ、小泉首相による靖国神社参拝が行われた。


それからまもなく(10分くらいか)後、中国の国営テレビCCTVで靖国参拝を伝えるニュースを放映。国営通信社である新華社は中国外交部の声明を全文掲載。人民日報も同じく外交部声明を全文掲載するとともに、評論記事(社説)を掲載。これらの迅速な動きからして、外交部はすでに声明を準備していたし、メディアも予定稿を準備していたと思われる。


15日、北京で小規模なデモがあったがすぐに解散。今回の参拝は中国にとって想定内あったこともあり、警備も万全であったようだ。在中邦人の中には近隣の公安から「危険なことがあればすぐに連絡するように」という事前連絡をもらっていた人たちもいる。


中国の情報の流れは基本的に上から下である。マスコミは共産党の統制下にある。

人民日報やCCTV、新華社は中国において権威のあるメディアである。今回の報道に関して、外交部声明の論調にのっとって記事が書かれていた。そしてこれら権威メディアの記事はその他のメディアに転載されていく。


今回の外交部声明の内容であるが、「靖国参拝に強く抗議する」としながらも結びの部分では「日本は中国にとって重要な国であると定義し、正常な関係に戻ることを望む」としていた。「A級戦犯」「小泉首相」を悪者にして攻撃し、その他の日本国民には罪はないとしている点も特徴的であった。


上述したように中国メディアはこの声明をもとに報道する。よって、現在中国では「悪いのはA級戦犯が奉られている靖国に参拝する小泉」「日本人の多くは靖国参拝に反対している」という報道をしている。CCTVでは日本で行われた反靖国デモの映像や南京で謝罪する日本人団体の映像も放映していた。今まで日本といえば、それ自体が悪であり、日本国内の反戦デモの様子などが大きく報道されることは無かった。


日本国内のメディアでは外交部声明の前半部分「靖国参拝に強く抗議する」の部分が強調されて報道されているため、中国の反応はいつもと同じと感じるかもしれないが、今回は明らかに違う。


中国政府は人民の怒りの矛先が中国共産党に向くことを恐れている。05年4月の反日デモは、確かに日本を対象としたデモであったが、共産党の対日政策が悪いとして、共産党自体に矛先が向く動きがあった。この経験から、今回は入念に対応を準備していた感がある。新華社のサイトにはネットユーザからの代表的なコメントとしていくつかのサクラコメントを掲載し、他のネットユーザに模範コメントとして見せ、世論を誘導しようとする動きもある。


中国は「A級戦犯」「小泉首相」に絞って攻撃をしている。裏を返せば、「これさえ解決してくれれば(つまり、参拝やめるか分祠する)いいんですよ」という日本の新政権へのメッセージとも取れる。また、今後日中関係を好転化するための布石を打ったともいえる。そう考えると、信念を貫き中国をここまで譲歩させた小泉首相の靖国参拝には意味があったとも思えるし、うまく次ぎに繋げてくれたともいえる。次はおそらく安部さんだろうから、安部さんはコミュニケーション能力が高いと思うし、小泉首相ほど頑固でもなさそうだし、うまく状況を見ながら根回しなどもして中国ともうまくつきあってくれるのではないかと期待する。



しかし、これらの意見は共産党が磐石であるということが前提での話しである。中国は「A級戦犯」「小泉首相」に的を絞って攻撃をしているわけで、マスコミもこの論調で報道しているわけではあるが、中国人の中には「靖国だけで日中問題が解決するわけではない」と頑なに主張する人も多い。そのような人たちは共産党の対日政策には不満を募らせていることだろう。日本外交は共産党のみを見るのではなく、これら在野の動きにも目を向けておく必要がある。