１日に行った町田の骨董市。

今回の目的はお雛様でしたが、思っっていたよりも　お雛様を出展している業者さんは少なく　雛道具や　郷土雛も少な目だった気がします。

昭和初期～中期頃までの　こういうケースに入った豆雛や　セットになってしまっているものが一番多く　欲しいものだけ単体でとは　なかなか思うようにいきませんね・・・

ここのブースの業者さんは　風の又三郎みたいなマントを着た　粋なおじさん。

お雛様が大好きだと　とても細工が細かく　着物の柄も見事に描かれた奈良一刀彫のお雛様や　古いお道具を並べていましたが　やっぱり良いものは　私に手が出せるものではありませんでした。

その分おじさんと　いっぱいお雛様談義をしてきましたよ。

この日持ち帰ったのは　小さな«狆引き官女»です。

以前にもお話したことがありますが　狆引き官女のおさらいです

犬はお産が軽い事、また幼児の死亡率が高かった時代に　子供の健やかな成長を願う親の思いが育ちやすい犬に結びつき　お雛様と一緒に　好まれて飾られました。

中でも　狆は日本古来の犬種で、江戸時代から明治時代にかけ　上流階級で飼われていました。

そのため、狆の形と色は　高価な着物を着た女性が畳の上で飼う事を考慮し、改良された犬種です。

女性の豪華な色柄の着物姿を引き立たてるため　毛並も「白黒」の犬だったそうです。

狆は　江戸時代、犬将軍と言われた五代将軍・徳川綱吉に飼われていたり、明治天皇の愛犬も「六号」という名の狆でした。

ドラマ「坂の上の雲」で秋山好古の下宿先・旧旗本・佐久間家のお嬢様(松たか子さん)も狆を抱いていました。

また、«狆»という字は　犬は外、猫は家の中で飼う事が常識だった頃、狆は部屋で飼う抱き犬だったため、犬と猫の中間のものと考えられ　«けものへん»に«中»と書いて　«狆(ちん)»という字になりました。

«ちんくしゃ»という言葉も　狆から生まれた言葉です

狆のように　目・鼻・口が中央に集まった顔

狆がくしゃみをしたような顔　醜い顔

という意味で　あまり良い事の例えではありませんが　狆は可愛いですよね～～

さて　狆引き官女は　襷(たすき)掛けに　紅い大腰袴(おおごしのはかま)(※)の官女が　座敷犬の狆(ちん)を引いている人形で、明治中期から昭和の初めまで　雛人形に添えられて飾られていました。

　　大腰袴とは・・・・

　　　　高級女官が　天皇の御前においてのみ着用した特別の服装で、

　　　　おすべらかしの髪　白の小袖や　染繍のある色小袖と一緒に

　　　　着用しました。

　　　　幅広の腰ひもを付けた長袴で　結んだ紐は腕にかけたり　肩に

　　　　担ぎます。

実は　既に狆引き官女は　１体手元にあるんです。

去年　okebaでの«春の筥»でも展示させていただいた　袖に綺麗な刺繍が施された　大ぶりのもの。

身長は２６㎝。

見返り美人の様に　体をひねり

お顔も気品があって　とても妖艶な色香を漂わせています。

連れている狆も　縮緬の前掛けをして　凛としたすまし顔です。

今回連れ帰った官女は　身長１５㎝の小ぶりのもの。

着物にも刺繍はなく　シンプルな白。

着物に多少のくすみはあるものの　おすべらかしも　後姿も傷みはなく　綺麗な状態でした。

お顔は　小顔で　大正時代のお雛様に良く見られる顔立ちです。

残念な事に　狆は傷みがあるので　多少手直しが必要でした。

今回の官女さんは　黒い台に固定され　小さな鉢植えがついています。

二つ並べて　またいつかイベントの時に　皆さんにご覧いただければと思っています。