単身赴任カラスと歌うゾンビ | 今日もゾンビは空を見上げる

単身赴任カラスと歌うゾンビ

「ピンポロリ~ン♪ ピRッピロリ~ン♪ ピロピロピンポンリ~~~ン♪」
雨のなか徘徊してると、学校の終業時間のメロディーが流れてきた。

ゾンビは、音楽に合わせて歌っていた。
「カ~ラ~ス~なぜ鳴くの~、カラスはや~ま~に~、か~わいい~いななつの子がいるからら~よ~~~♪」

ああ、カラスさんは単身赴任なんだなあ。
それで、故郷に置いてきた子供たちのことを思って哀愁を感じているんだ…。
ゾンビはちょっと寂しく思っていた。

しかし七羽も子供がいたんじゃ、大変だなあ。
ひとりで寂しいけど、都会の中でがんばってるんだな、カラスさん。

その寂しさをうめるために、都会に住むお姉さんカラスと仲良くなったのもしかたないことか、うんうん。
こうして単身赴任カラスさんは、お姉さんカラスさんとどんどん親密になっていったのか~。

ああなるほど、もっと寂しさをうめるために、お姉さんとの間に子供カラスが出来ちゃったのね。
まあ、しかたないか~。

こうしてカラスさんは、さらに増えた子供のために、めっちゃ働いたんだ。
新鮮だった都会カラスさんも、いつしか色褪せて見えてきたって?
ああ、そんなもんだよね~。

働いて働いて、その現実のきびしさから逃げたくなったったんだな。
そして、ささいな癒しの場だった飲み屋さんのお姉さんと、そうなったのも分かるよ、カラスさん。
でもね、気をつけなきゃね、さらに増えたんでしょ、子供たち…。

“自分のまいた種”ってやつだよね、カラスさん。

「カア~~~」