「くんくん、くんくん」
ゾンビは夏の匂いを追い求めた。
「くんくん、くんくん」
煙りとともに街に漂う、香ばしい鳥さんの匂いはまさに夏だろう…。
「くんくん、くんくん」
風にのって、お姉さんから舞う香水の匂いはまさに夏だろう…。
「くんくん、くんくん」
暗闇に佇む幽霊さんから、微かに漂うお線香の匂いはまさに夏だろう…。
「くんくん、くんくん」
ゾンビは労働後の自分のシャツの匂いを嗅いでみた。
「んぎゃっ!」 間違いなく夏の匂いだった…。
そういえば、今年はまだセミも抜け殻に出会ってないなあ。
見つけたら「くんくん」しなきゃな。