異次元カタツムリとゾンビ | 今日もゾンビは空を見上げる

異次元カタツムリとゾンビ

宇宙を点々と繋ぐワームホールを、巨大な異次元カタツムリが、のっそりのっそりと進んでいく。
2本の突き出た目玉から、まぶしい光を発しながら、異次元カタツムリは迷うことなく目的地の空間に向かっていた。

まるで山のように巨大な渦巻きの殻には、小さな明かりが無数に灯っていた。
異次元カタツムリは、生きた客船だった。
小さな明かりは、殻の中にある客室の輝きである。

宇宙のさまざまな場所を繋ぐ、ワームホールを定期的にまわっているのだ。
そして真っ暗な宇宙空間に光が差し、空間がゆがむと、のっそりと異次元カタツムリの目玉が現れた。
徐々に殻も見え始め、やがて地球のある太陽系に、ぽっかりと異次元カタツムリが姿を見せた。

殻の渦巻きの中心がパコンと開き、シャトルが乗客たちを乗せ、目的の星に向かって飛び立っていった。
ここでの目的地は、地球のようだ。
殻が閉じると、異次元カタツムリは空間をゆがめて、次の目的地に向けワームホールに入っていく。

そのとき、ちょっと振り向いた異次元カタツムリは、地球に住む同種族の小さな小さなカタツムリたちの声を感じ取った。
目玉をグルンと一回転させて、異次元カタツムリはワームホールに戻っていった。

そのころゾンビも、カタツムリのようにのっそりのっそり徘徊していた。
立ち止まっているより、のっそりでも前に進む方がいいよな~と、カタツムリを見習いながらの徘徊であった。