ぽかぽかゾンビ
昨日はぽかぽか陽気であった。
「こ、これはひょっとして…」
さっそくゾンビは、天界の気象部に忍び込んでみた。
やはり稼動していた、“ぽかぽかマシーン”が。
“ぽかぽかマシーン”は、大きなたぬきの姿をしていた。
のんびり腕を上げ、お腹を「ぽっか~~~ん!」と叩くと口からぽこっと、淡い桃色のぽかぽか陽気がもこっと吹き出し、下界にゆっくり舞い降りていく。
ゾンビはマシーンの口からこぼれ落ちた、ほんのりぬくもりのあるぽかぽか陽気のカケラをポケットに入れて下界に戻った。
下界に降りてポケットから出してみると、カケラはもこもこ膨らみだし、ふんわりと浮かび上がりゾンビのまわりをくるりと回ると、あったかい風に吹かれて花吹雪のようにひらひらと舞い散っていった。
ゾンビは、「ぽかぽか~ん」とひと鳴きし、空を見上げながらくるりと一回転した。