カラスを思うゾンビ | 今日もゾンビは空を見上げる

カラスを思うゾンビ

ゾンビにも、ほんの少し魂のカケラが残っているらしい。
夜空を見上げていると、そのカケラがゾンビから離れるときは、大きく真っ黒なカラスがくわえて、どこかに運んでいくような気がした。

だからゾンビは、夜空を見上げたままクルリとひとまわりして、「カア!」とひと声鳴いておいた。

人生は終わってるが、ゾンビとしての時間はまだある。
だからゾンビは、残された時間、精一杯お肉を喰って、喰って、喰いまくって、喰い
の残らないよう過ごそうと、夜空に向かって高らかにもうひと声鳴いておいた。

「カア~~~!」