美大に合格した私は、通えない事もなかったのですが
なにせ、美大は課題が多く、大きなパネルを持っての
長距離通学には無理があり、中央線沿いの部屋を借り
一人暮らしをする事になり、ロックを置いて家を出ました。
If(by Bread)
を聴きながら
【ロックの気持ち・ふうちゃんの気持ち】
４０年前・・・「ロック」という
アメリカン・コッカースパニエルの子犬が私の所に
来ました。ロックは３か月。私はまだ小学生でした。
走ると、お耳が蝶のように揺れて愛くるしく、
自転車にくくりつけて散歩に行くと、
引っ張ってくれる・・・頼もしい男の子でした。
2階の私の部屋の窓から名前を呼ぶと
嬉しそうに飛び跳ねてくれました。
ある日、おもいきり尻尾を振って、
お口を膨らませて、私の元に走ってきました。
そのお口から、そお～っと・・鶏の卵を３つも出しました！
裏庭の方から怒鳴り声が・・・
「卵泥棒ーー！」・・・鶏の飼い主さんでした。
なんでも・・・
鶏小屋に穴を掘って小屋に入り込み卵を・・・
私は大学生になり、自宅を出ました。
夏休みと冬休みと春休みしか
ロックに逢えなくなりました。
まもなく・・・私は就職をしました。
ロックには、お正月しか会えません。
夏休みを取ると、ハワイに行ったりで、
自宅には帰りませんでした。
ロックのことは・・・忘れかけていました。
なのにロックは・・・毎日・毎日・来る日も来る日も
私の部屋のある
２階の窓を見上げていたそうです。
何回目かのお正月を迎えるため年末に自宅に戻ると
私の部屋の机の上に、
ロックの首輪が置いてありました。
私は、声を出さないように泣きました。
私は、大切な「忘れ物」をしていたことを
見過ごしていたのです。
翌日、高照寺のお墓に
お線香とお花を持って、兄夫婦に連れて行ってもらいました。
私のいない間は兄の奥さんがロックのお世話をしてくれました。
「ロックのお墓」と書かれた墓標がありました。
お花が供えてありました。
もう涙は出なくて・・・
なぜか「ホッ」とした気持ちでした。
そういう「ホッ」とした私が・・・今でも許せません。
ロックは１５歳で逝きました。
１５年のうち半分は、私を待っていたのでしょう。
最期の日・・・
２階の私の部屋に向かって、吼えていたそうです。
こんなことがあったから・・・
こんなにも後悔をしているから・・・
ロックに「ごめんね」を言いたくて・・・
ふうちゃんに、
強い愛情を抱いているのかもしれません。
ふうちゃんの気持ちは、どうなのでしょう？
すべて・・・
お見通しなのかもしれません。
とても賢く・優しく
不思議な子だから・・・
もう２度と 大切な忘れ物を見逃さないように。
「ロック」と同じ毛色のふうちゃんの背中を
さすりながら、「忘れられた子」の気持ちを
痛いほど感じて・・・いる。
ポッチッとするだけ
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ふうちゃんブログ開設１周年、思い出の記事８回目になります。
今年の３月に初めてUPした記事です。
この記事は、お彼岸の前日実家の母と話している時に、「ロックのお墓は区画整理で公園になる」と知らされ、もうお線香をあげに行く所がなくなるんだなあ～と寂しくなり、ロックの存在を皆さんに知ってほしくて書いたものでした。ロックのいた実家の庭も今は、駐車場になっています。もしあの頃、もっと側にいられたら・・・今でも悔やんでたまりません。
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