最終電車が通り過ぎる。
ふうちゃんを抱っこしながら、ベランダから覗いてみる。
ぐーっとカーブした線路に
オレンジ色の明かりの電車が、ゆるく進んでいく。
高層のベランダから、終着駅がみえる。
終着駅は嫌いだ。
山の暗闇も嫌いだ。
田舎の暗闇はもっと嫌いだ。
子供の頃、父の選挙のたびに
祖父母の家に預けられていた頃があった。
がらーんとした大きな農家の家で
襖いっぱいに「虎の絵」が描いてあった。
真夜中に目が覚めると、
虎が暗闇の中で目を剥いて、こう言った。
「犬と猫と どっちが嫌いだ！」
「・・・・・」
「犬と猫と どっちが好きだ！」
「・・・犬」
選挙が終わり、家に戻ると
三毛猫の みゅう がいなかった。
私のせいだ・・・と思い 子犬のチョビと探した。
あれ以来、可愛がっても、猫は長居しなかった。
命あるものを、選別してはいけないのだろう。
JICAからアフリカに
ボランティアで行かれた方のお話では
「人が人を選別する現状がある」。。。つまり
老人より、子供を優先して病院に運ぶという。
外は、まだ群青色の空。
塀の上でオレンジ色の朝日を見つけた時、
なぜか確信をした。
犬が好きだ！
ふうちゃんが大好きだ！と。
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