鴨川から見た比叡山
京都に初めて住んだ叔母の家からは、比叡山に上り下りするケーブルカーが正面に見えた。
50年以上前、叡山電鉄鞍馬線を使って通勤していた。
出町柳駅から元田中→ 茶山→ 一乗寺→ 修学院→ 宝ヶ池→八幡前→岩倉………貴船口→ 鞍馬(終点)となる。
もう一つ、宝ヶ池から別れる叡山本線というのがあって、宝ヶ池→ 三宅八幡→ 八瀬比叡山口で終点。
私は鞍馬線の八幡前から乗車し、終点の出町柳から少し歩いて市電に乗り換え、勤務先の京都大学まで通っていた。もちろん定期券を持っていたが、切符を買うと出町柳から八幡前駅まで30円、市電はどこまで乗っても15円で、市電はなんて安いのだろうと思った記憶がある。
叔母夫婦の町家に同居していたのだが、義理の叔父が同じ京都大学勤務だったので、ときどき勤務後に待ち合わせて四条河原町などに出て映画を観たり、喫茶店に行ったり、高島屋や阪急、大丸で買い物をしたりした
八幡前の家には赤ん坊の甥っ子がいて、日曜日などはベビーカーに乗せて宝ヶ池方面によく散歩にでかけた。しかし、ときどき息抜きがしたくなり、3つ離れた一乗寺に住んでいる独身の叔母(同居の叔母の姉)の住むアパートに泊まりに行った。
当時、田舎からでてきた自分をひとりぼっちのように思っていたが、こうして振り返るとそうでも無かったんだなあ
面白かったのは、独立したくなってアパートを捜した時、出町柳駅前の周旋屋(アパートなどの斡旋業)のおばあさんが、鍋釜一式をくれたことそして、左京区真如堂前町に引っ越した。ここから京都大学までは歩いて行けた。
更に引っ越しをして、左京区聖護院西町の尼寺の屋根裏部屋に住んだ。ここから勤務先までは3分くらいだった。通りのパン屋でよくパンを買ったが、ここのおばあさんが成人式の晴れ着の着付けを無料でしてくれた
その後、東京に移ったが、夫の両親の住む修学院に同居したこともあった。
定年後は、京都に戻って住みたいというのが夢だったが、なかなか叶いそうにない。