ドライフラワー

     

 春の夜中、息子が大きな花束を抱えて戻ってきた。さしだして、「これ、何かになる?」と言う。見ると大きな花束なのに、中身はほとんど枯れている。受け取ると、青や白の花びらがはらはらと散った。

 1週間ほど前にもらったけど、そのまま職場に置いていたという。水につけなければ枯れるくらい小学生でも知っているよと思いながら、「バケツにでも漬けておけばよかったのに」と言うと、綺麗な包みだったから水には漬けられなかったと言う。それじゃあ、綺麗なうちに誰かにあげればよかったのに……

 仕方がないので薔薇だけ取りだしてドライフラワーにした。去っていく大学院生達からもらったらしい。もとはどんなに美しい花束だったのだろう。




藤本花束



ピンクのガーベラ


白い花束


赤い百合