いつも行くコピー屋さんには、雑貨屋の隅に2台のコピー機が並べて置いてある。一台はカラーもできる新しい複合機で、もう一台は白黒専用の古いもの。当然、新しい方がコピーも美しく出る。だから古い機種が空いていても、新しい方に並んだりする。

 今日は誰もいなかったので、新しい方でコピーをしていた。10部ずつなので開閉はしていなかったのだが、いきなりやってきたおじさんがコピー機の蓋を開けて、私のコピー元の用紙の上に分厚い本を開いて乗せた。私はびっくりして「今、コピーやってる途中ですけど」と言った。蓋開けたらこちらの用紙乗ってるの見えて、普通はそこで止まると思うけど。

 彼氏はすごすごと古い機種の方へ行った。もっとも間違っても無理もない面もある。新機種が左の隅、その右手に古い機種があるが、雑貨屋なので、今日も左隅ぎりぎりまで商品が置いてあり、やむなく2台の中間あたりに立って私が作業していたからだ。

 でも、この彼氏、見た覚えがある。
 2,3ヶ月前のことだった。その時は彼氏の方が早く来ていて、さかんに分厚い本のページを開いてはコピーしていた。その日はこちらも綺麗なコピーが取りたかったので、後ろに並んで待った。5分ほど待ってもまだまだ続いているので、「あのー、まだ時間かかりますか?」と聞いたらたったひとこと「まだっ!」。仕方ないので、私は古い機種に移った。ほどなくして彼氏はあたふたと出ていった。

 私はキリのいいところまで古い機種を使って、新しい方に移った。移っていった新機種の排出台には、200枚ほどのコピーされたものがそのまま残っていた。私はそのコピーの山をカウンターのお店の人に預けて、自分のコピーを続けていた。しばらくして、ぜいぜいと引き返してきた彼氏、いきなり私が使っているコピー機の下を覗いて「コピーは?」と叫んだ。私は澄まして「お店の人に預けましたよ」と応えた。

 この人、家でもこうなのかなあと思ったらにやにやしてしまった。もう一言、言えないかなあ。例えば、「すみません、もう少し時間かかります」とか「ここにコピー忘れてなかったですか」とか。