現在バングラデシュで進めている看護師育成プロジェクトのため、準備を進めています。
バングラデシュの看護師の不足は深刻であります。
病院で働く看護師は本当に少なく、現在国立病院で勤務する看護師の勤務時間のなんとわずか5.3%のみが患者さんに対するケアに使われる時間と言われています。
そのため、患者のケアは患者の家族が行うことが普通であり、もちろん専門的な看護はできず、患者の家族の負担も大変大きいのが現状です。
今回のプロジェクトは看護師を育成するだけでなく、文化的背景から見た看護師の地位と認識の向上のためにも、しっかりとした看護の専門的知識を共有していくことができればと考えています。
現在、準備を進めておりますが、このプロジェクトでのいくつかの工夫と取り組みを紹介いたします。
日本では病院でしか手に入らないような医療資材や道具もバングラデシュでは街の薬局で買うことができ、今回も教材として用いる医療資材を調べながら調達しています。
日本とは異なるものもあれば、日本で今も使われているものもありますが、できるだけ現地の病院で使われている医療資材を元に、講義や実習の中で使用していく予定です。
今回のプロジェクトでは、実際の授業の中で、より知識をイメージしやすくするため映像を使い、生徒たちが理解しやすくする試みを行っています。
映像授業はe-Education様と合同で日本やバングラデシュで撮影を開始しています。
撮影は講義室だけでなく、病院の実際の医療現場でも行われ、講義の内容がよりリアルに現場で使われる様子までを組み合わせて作られ、知識が現場に生きる様を見せる工夫をしています。
バングラデシュのこの企画では、Future Code所属の日本人医師・看護師、スタッフも現地での実際の講義や実習、そして映像の撮影、プロジェクトの運営のために派遣されます。
現地で再度、現地の医療事情を踏まえ、講義内容を見直しながら、患者の急変時などで重要な所見のとり方について収録しています。
そもそも、バングラデシュの看護師に活かされるようにと日本で作成してきた内容ではありますが、やはり現地の医療事情に現地で照らし合わせ、再検討すると修正が必要であることも多々あります。
時間をかけて作った資料を何度も何度も作り直すことは、とても大変なことではありますが、コース開始後も、生徒たちからの声や理解度を元に、講義内容をいつでも再検討してより分かりやすくする努力は必要不可欠です。
これからも、より現地で生かすことのできる講義を目指し、このような作業も十分に時間をかけて検討し、大切にしていきたいと思います。
バングラデシュのある看護学校の実習室を借りて、基本的な心臓マッサージや人工呼吸について居合わせたこの看護学校の看護学生たちの前で人形を用いて実際に行って見せることになり、これもひとつの教材として映像収録をしています。
できるだけ現地で使用されている医療資材を用いて、現地の環境の中で行い、映像を収録しています。そしてもちろん講義だけでなく実習としても実際にプログラムを受講する学生さんたちに行ってもらう予定です。
それに先立ち、映像で心臓マッサージのやり方を見てもらうのですが、如何に迅速な対応が必要で、「強く、速く、絶え間ない心臓マッサージ」が大切であるか、特にそういった部分を強調して作成しています。
少しでも講義の中で使いやすく、かつ分かりやすく、そして感覚的にも受け入れやすい教材作りを目指しています。
この学校の看護学生たちはその日の授業が終わっているにも関わらず、誰一人帰ることなく、撮影が終わる最後まで私たちに付き合ってくれ、私たちが何をしているのかを興味深々に見ていました。
「いい医療ができる、いい看護師になりたい」
学生たちはみな、そう話してくれました。
ひとつひとつの工程はもちろん非常に時間がかかるものでありますが、スタッフ一同、丁寧にそのひとつひとつに取り組んでいきます。
きっとそれぞれのこの努力と、そしてこのプロジェクトにご支援くださった多くの皆様のお気持ちは、このプログラムを受講する生徒にも伝わると信じ、日本の知識が取り入れられたこのプログラムが少しでも現地に役に立つように創り上げていきたいと思います。