恐怖と平和と現実と 活動の原動力 | 国際支援団体•認定NPO法人 Future Code

国際支援団体•認定NPO法人 Future Code

国際医療支援団体であり、医療の届かない場所に医療を届ける活動を基本として教育、貧困、公衆衛生など様々な途上国の問題に対し、日本人として何ができるのかを考え、行動を続けています。支援事業は農業/食糧支援、ソーシャルビジネスによる雇用創出等、多岐にわたります。

いつもまわりの友人にFuture Codeの活動内容よりもまず聞かれる質問がある。

「そんな仕事をしていて、怖くはないのか?なぜそれができる?」

昨日までよく聞かれたこの質問だが、正直な話、なかなか簡単に答えることができた事はない。

日本人に限って話したとしても、途上国の現場に駐在して何年も仕事をする人もいるし、地域によっては危険度がさらに高い場所もあるし、ずっと常にそういう場所にいるわけではない。
日本の感覚ではないが、安全管理さえちゃんとしていれば、想像よりも平和な場所も多い。
つまり危機管理はもちろん必要だが、そもそもそんなに危ないわけでも、怖いといつも思っているわけでもない。

しかし確かにいろいろな経験もしてきた。

知人を亡くした事も、自分自身がぎりぎりだった事も。
それは自然災害のときもあるし、また先日ニュースでトルコの空港の爆破と銃撃が報道されたが、実は仕事の当初の計画では、偶然にもあの時にあの空港に私はいたはずだった。

もしそんな状況はたまらなく怖いに決まっている。
腹をくくって諦めがつく、ような事は多分生きている限りはなかなかない。
まだやらなければならない事は多くある。

確かにリスクは小さいと言っても普通よりは高いのかもしれないし、もし何かで終わりがきたとしても、自然災害は仕方ないとしても、正直、人の悪意による終わり方だけは辛い。

それでもなぜできる?

もちろんはっきりとした自分の中での理由がある。

簡単に語弊を恐れず言えば、「自分のためにただやりたいから」だ。

それくらいこの仕事に生き甲斐を感じ、少しの成功の後の喜びを知っている。
特に今日、強調したいのは、様々な文化や宗教を超えた現場での経験が今の自分を育ててくれたからだ。

私の知る限り、世界は私が思う当たり前の平和が平等にあるわけではなかった。
ちょうど今日、私の英国での大学院時代を共に過ごした親友とも呼べるクルド人と最後に会ってから1年が過ぎた。
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宗教や文化は違っても、人を思いやり、平和を愛する本当に心のいいやつだ。

「自分の国では、どの車がいつ爆発するかわからないから、車の多い街は緊張する。自分の故郷は平和だが、時にはテロとも闘わなければならない時もある。」

そう話をしていた彼の現実は、微妙な国際情勢も絡み、そう簡単に語れるものではないが、それでもこれが彼の向き合う世界の片鱗だ。
彼と語り合った日々もまた、私の財産になった。

今は情勢も悪く、日本とは違い、国を出ることも難しい彼とは会うことは出来ないが、「平和の意味」を考えずにはいられない。
彼もまた彼の故郷で、きっと今も必死に自分なりの方法で、平和のために「闘っている」はずだ。

人を思いやる気持ちには、宗教も文化も超える事ができる事実を、彼は体現してみせてくれる。
そして私にとっては遠い国の誰かの話ではなく、我々は同じ時代を生きている。

そう思えるからこそ私もまたこの世界の中で、医師としてというよりまず地球人としてできる事を皆と共に続けていきたいし、世界の現実を真っ直ぐに見ながら前に進みたい。それは間違いなく楽しいと感じるだろう。
またそんな中であいつとまた会える時もいつかくるだろうし、そのときに今までFuture Codeの活動を通じて経験してきたように、何か一緒に仕事か何かして、小さな事でもうまくいったならその喜びは私の中で格別だろう。

そんな気持ちが、自然といろいろな恐怖心を越えさせてくれるわけで、最初にも書いたように、シンプルに言えば「自分がやりたいからやっている。」

まだまだ自分の出来る範囲でしか貢献はできていないが、それでもこれがつまりは私がこの仕事を楽しみながら続けるのに十分な理由になる。

この昨今の世界は不安定さばかりが増し、暗いニュースが多いが、この旅の終わりには少しは良いことも起きるよう願う。

さて。私もそろそろ行動する時。
日本から出国する時間だ。