ブータンという国
最近、産経新聞の夕刊に「ブータン紀行」という記事が連載されている。(6月20日(月)から)
写真も毎回掲載されいるが、なぜか懐かしい感じがして、気になって毎回読むようにしている。
「ブータン王国」は中国とインドの間に挟まれた地域に位置し(ネパールの隣)、面積は九州とほぼ同じで、人口は60~70万人の小国だ。
30年間まで鎖国のような状態で、他国の文化の影響を受けず、国民は敬虔なチベット仏教徒で、多くは日本の農村の原風景のような農村社会で自給自足に近い生活を送っている。
国民所得は日本の50分の1、電気の普及率は3割、水道も7割に満たない。しかし、街中で物乞いをする人はなく、強盗やひったくりなどの犯罪もないそうだ。国民の表情はおだやかである。顔立ちも日本人に似ていて、(というよりそっくりだ!)
生活スタイルは何十年か前の日本を思い起こさせる。
僕も小さい頃は田舎で茅葺き屋根の家に住んでいて、水道がなくて裏山から流れる渓水を溜めて飲み、その水を汲んで薪で風呂を沸かすのが小学生の頃の手伝いだった。両親は田んぼや畑を耕していた。庭にはニワトリを飼っていて毎朝鶏舎まで卵を取りに行くのが楽しみだった。(すでに僕の年代ではめずらしい生活経験かもしれない)
昭和40年代前半まではまだ日本でもブータンのような風景はよく見られた。
日本人の方がはるかにブータンの人より生活水準も高く快適な生活を送っているのにいつも追われた生活をしている。ブータンの人々は毎日をあくせくしないでマイペースで過ごしている。
この国ではGNP(国民総生産)ではなく、「GDH」(国民総幸福量)という考えを世界に向け発信しているそうだ。つまり物質的な幸せではなく精神的な幸せを目指しているという。Hの意味はHappineseだ。
日本では、「お金」が何事につけても価値判断の基準になり、それがなくては生活ができないが、この国では「幸福量」が基準なのだ。
しかし、最近はブータンにも「文明開化」、「近代化」、「IT化・情報化」が1度に訪れているようで、国民の生活も変わりつつあるようだ。家族での食事時、子どもたちが日本製のテレビを食い入るように見ている写真が載っていた。首都の中心部ではマンションの建設も進んでいるという。
日本が歩んできた道をタイムマシンに乗ってもう一度たどっているかのような感じを受ける。
一度進み始めた近代化は元にはもどらない。もどれない。しかし、今の日本の悪いところは真似てほしくない気がする。物質的豊かさは必ずしも精神的豊かさにはつながらないのだから…。
- 著者: 『地球の歩き方』編集室
- タイトル: ブータン〈2001‐2002年版〉
- 著者: 田中 維佳
- タイトル: ずっとアジアを旅していたい―神秘の国チベット・ブータン