「王の顔」と「華政」どちらにも光海君(クァンヘグン)が出て来ます。
光海君は、李氏朝鮮第15代国王で、1575年に生まれて1641年に亡くなっています。
在位は1608年から1623年で、クーデターで失脚し廃位され、その後、済州島に流されます。

燕山君と同じく廃位された王として歴史に名を残していますが、最近は功績を認める世論があるようで、見るドラマにより描かれ方が違います。
2010年以降のドラマだと、「火の女神ジョンイ」にも光海君が描かれています。

「火の女神ジョンイ」の光海君は、明るく陽気な親しみやすい感じの好青年の光海君です。
「王の顔」の光海君は、民の事を第一に考える正義感溢れる好青年の光海君です。
「華政」の光海君は、部下の悪事も自分の権力のためなら許す憂鬱な感じの光海君です。

「王の顔」と「華政」は、時代的には、「王の顔」が少年時代から国王になるまでの光海君を描き、
「華政」の光海君は、国王になってから失脚するまでを描いています。
「王の顔」の主人公は光海君ですが、
「華政」の主人公は光海君ではなく、母親が違う妹の
貞明公主(チョン(ジョン)ミョンコンジュ)のストーリーです。

史実によると、光海君は権力闘争でかなりの人を粛清しているようです。
正室の息子(嫡子)だった弟を蒸し焼きの刑で殺害したり、忠臣も密告などにより処刑にした記録も残っています。
しかし、政策的に評価されるものを残し、豊臣秀吉の侵略を阻止し、明との関係を改めて後金(のちの清)と国交を結んだりした事を評価しているようです。

私が最も印象に残っているのは、「王の顔」キム・カヒと「華政」のキム・ゲシが同じ人物をモデルにしている事です。
「王の顔」のキム・カヒは、ヒロインで光海君の初恋の相手であり、結婚を約束した美しい女性です。
「華政」のキム・ゲシは、器量が悪くて王に相手にされない女官で、図書室で出会った王子時代の光海君にその学識を認められて接近するようになった女性です。

「華政」のキム・ゲシは、光海君のために恐ろしい悪事も淡々とこなす女性で、光海君のために先王(光海君の父)をも毒殺します。
「王の顔」のキム・カヒも、光海君のために義兵になり日本軍と戦ったり、光海君の敵とも戦ったり、光海君のために先王(光海君の父)の寵愛を受ける女官にまでなります。
そして、最後は「華政」のキム・ゲシと同じく先王を毒殺します。

「王の顔」のキム・カヒは、先王を毒殺した時に自分も同じ毒を飲んで自殺を計りますが延命し、その後はお寺に入りドラマはエンディングになります。

史実のキム・ゲシは、光海君がクーデターで失脚した時(1623年)に処刑されています。
「華政」のキム・ゲシは史実に従って、先王が亡くなった後に宮中を去りますが、しばらくして光海君に使えるために再び宮中に戻って来ます。

悪事も淡々とする「華政」のキム・ゲシと、凛とした美しさがある「王の顔」のヒロインのキム・カヒ。
同じ人物をモデルにしていても、キャラクターに合わせて演じる役者もやはり違いますね。

↓「王の顔」のヒロインで初恋の相手のキム・カヒ(チョ・ユニさん)
↓「華政」の光海君のために悪事を引き受ける側近のキム・ゲシ(キム・ヨジンさん)

「王の顔」と「華政」の2つとも観た事がある人は、二人が同一人物とは信じられないかもしれない(^_^;)。