参考:過去記事「「べてるの家」に関する情報」
統合失調症に関する過去記事を書いて以来、検索エンジンから当ブログへ辿り着いた方のために、参考になる情報を掲載しています。ただし私はべてるの関係者ではありませんので、あくまで参加者の立場からの情報です。今回は、「相模原・町田べてるの集い」に参加してきました。ただし、実は初めての参加ということもあって、苦慮した結果、出張当事者研究への参加は遠慮することにしました。結局、その後半に行われた当事者家族と一般者の部にだけ出席してきました。
【「相模原・町田べてるの集い」とは】
当事者家族の方が事務局を運営し、月に1回開催される、精神障害を持つ当事者とその家族が中心となって行うミーティングです。コーディネーターには、べてるの家のソーシャルワーカーとして有名な向谷地生良さんの息子さん、向谷地宣明が招かれています。参加費用は当事者無料、一般は1,000円です。
毎回、前半は当事者の部として「当事者研究」を行い、後半は一般の部として「家族の当事者研究、ビデオ鑑賞等」を実施しているようです。
私はこの後半に参加したので、向谷地さんやご家族の方、また当事者の方も交えてディスカッションを行いました。また過去記事でも紹介した以下の著作を一緒に読んだりして、爆発や妄想に対するケース毎の対処法などを考えたり、一緒に共有しました。ただし、数十円を負担すれば本書のコピーを配ってくれますので、著作購入は必須ではありません。私は持参して参加しました。
「べてるの家」から吹く風/いのちのことば社

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参加者には、統合失調症だけでなく躁鬱病や鬱病の方もいらっしゃいましたので、特にこれという制限は無いようです。何より、私自身も母を亡くした今は、元当事者家族という立場ですが、とても温かく受け入れて頂けました。もしご不安な方は、事務局へ個別にお問い合わせいただくのが良いと思います。
参考:べてるねっと「イベント情報」
【一般の部のミーティングの例】
当事者とご家族同伴でのご参加や、当事者のみ、ご家族のみなど、参加形態は様々です。毎月ご参加されている方もいますし、私の他にも2名の方が今回初参加でした。参加者は皆、それぞれ思い思いに発言していくのですが、その会話の中で時々ヒントのようなものを見つけていくようです。私が参加した今回も様々な話題が出ましたが、プライバシーに関わるので簡単にご紹介します。
まずポジティブな話題で言えば、当事者研究を繰り返したことで、妄想や爆発などの症状をコントロールできるようなったという報告がありました。自宅でも個人研究を行いながら、べてるの教えをヒントに対処方法を見つけられるようになったのだそうです。また家族内においても、「幻聴さん」などのべてる語が互いの共通言語として定着したことで、当事者の悩みを日々、理解できる形で共有できるようになったなど、興味深い話を聞くことが出来ました。
反対にネガティブな話題では、理由の説明がつかない恐怖感に日々苛まれ、引きこもり傾向から脱することができないという話がありました。ここでキーになるのは、その恐怖感の原因が何かを探ることです。ここでは、様々な人が当事者の方にこれを質問するのですが、今回は「わからない」という以上の分析には至りませんでした。同じようなケースはよくあるのだそうですが、明確な対処法は今のところ確立されていないように感じました。
その他のケースでは、まだ通院を始めたばかりで正確な病名すら不明だが、現時点では家族としてどう対処すれば良いかといった悩みが出されました。また別の事例では、主治医を変えたいがどうすれば良いかという相談も聞かれました。それに対して各参加者は、それぞれの経験則や失敗例などを例に取り上げて、互いにアドバイスをしていました。
多くの参加者の声として、やはり精神障害を抱える者同士がこうして話し合える場が貴重だということでした。私自身は、母の生前にそうした場に参加した経験が無いので、全く同感です。
【私の母の抱えた問題について】
既に亡くなった私の母の相談を今更持ち出しても仕方ないのですが、折角なので私が特に聞いてみたかったことを参加者の皆さんに投げかけてみました。初参加で厚かましいとは思ったのですが。
私の興味は、病識が無く投薬治療を拒否し続けた母にとって、当事者研究をはじめとするべてるの学びにはどんな効果期待できるのかという点でした。その疑問に対するコーディネーターの向谷地宣明さんの最初の解答は、私にはとても意外なものでした。
「べてるでは、病識の有無を問題にすることはほとんどありません。」
驚きました。病識の無い当事者は、私が知る限り、あらゆる病院から拒絶されます。治療ができないからです。しかし、向谷地さんはこう続けました。
「べてるにいる当事者の中にも、病識の無い方が多くいるだろうと思いますが、実際にそれがどれくらいいるのか把握したことはありません。なぜなら、当事者研究を行うことが可能かどうかは、病識の有無ではなく、自分の抱える問題を解決する意思があるかどうかが問題なのです。もっと言えば、そもそもそれが病気かどうかも問題ではなく、自身に問題意識さえあれば解決に向けた努力は始められるからです。つまりお母様ご自身が、抱える悩みを解決したいと思っていたかどうかですよね。」
はっとしました。
思えば、私は母と理性的な会話をしようと考えたことがほとんどありません。無理だと思っていたからです。しかし振り返ってみれば、自分の症状に本当に悩み苦悩する、母の思いつめた表情が思い起こされました。
私は思い違いをしていたのかも知れません。母にも当事者研究が可能だったのではないのかということに気付きました。
【当事者からの励まし】
私はその気付きを伝えました。すると今度は思いもよらず、参加していた当事者の方からも意見をいただきました。
「私は当事者で、夫も当事者ですが、自分の悩みを近しい家族に打ち明けることってほとんど無いですよ。病気でも病気じゃなくても、互いの悩みを話し合うことって実際少ないですよね。だから、丸山さんがもしその問いかけをしなかったからと言って、自分を責めないでくださいね。そんなこと普通だし、お母様もきっとそのお気持ちには気付いていますよ。」
私はそんな温かい励ましをいただき、なんだか自分の見識の狭さがとても恥ずかしくなりました。自分が考えていた統合失調症障害とは何だったのだろう。ひょっとすると、とても一面的な見方をしていたのかも知れません。
また同時に、この病気がもう少し広く認知され、当時にこうした場へ参加できていたらと、少し悔やむ思いも抱きました。
それだけに、同じ悩みを抱える方々には、私と同じ轍は踏んで欲しくないなとも強く思います。
【当事者研究実践講座 in 横浜】
次回、このイベントに参加してみようかと企んでおります。
「べてるの家の当事者研究実践講座 in 横浜」
講師:向谷地生良氏(北海道医療大学教授)、べてるの家メンバー
<午前の部>10:00~12:00 テーマ:「ライブ当事者研究」
ー研究成果をみんなで持ち寄りライブで当事者研究をしたいと思いますー
<午後の部>13:00~15:30 テーマ:「相談支援に活かす当事者研究」
ーライブで皆さんと一緒に場面検討しましょうー(お題募集)
私の近隣情報ばかりで恐縮ですが、実はこうしたイベントは各地で行われています。詳細は同じく、べてるねっとをご覧下さい。
参考:べてるねっと「イベント情報」
あまり広くご参考頂ける記事ではありませんが、こうした情報が今まさに悩んでいる方々に少しでも届けばなと願ってやみません。また掲載できそうな情報を仕入れた際は、記事を載せていきたいと存じます。最後まで読んで下さりありがとうございました。
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