→命を賭けて、お金の話
ふとしたことから、またまたお金のことについて調べることにしました。
【お金って何ですか?】
私達は普段、財布に入っている紙幣や硬貨の価値について悩むことはありません。1万円は1万円ですからね。
でもねちょっと考えて下さい。1万円札って単なる汚い紙ですよね。この紙自体が自然発生的に価値を持っている訳ではありません。
しかし、1万円で買える物といえば、誰しもがすぐに想像できることでしょう。すなわち1万円札は、相応の価値を持つ物と交換できるからこそ、価値が実感できるのです。○○を10個買える価値。それが1万円札の価値を支えている訳です。
しかしながら、天候不順で野菜が高騰するように、戦争で石油が暴騰するように、物の価値は常に変動しています。つい先日も、食料品価格が大きく値上げされました。1万円で10個買えたものが、9個しか買えない。つまり、1万円の価値が下がってしまったのです。こうして決定される、お金と物の価値の関係を、経済学では「需要と供給」と呼びます。
参考:Wikipedia記事「需要と供給」
つまり、物価が上がれば1万円札の価値は相対的に下がります。これをインフレと呼び、その反対はデフレです。お金の価値は、こうして日々変動を続けているのであって、1万円札の価値が一定に留まっているというようなイメージは、一種の錯覚なんですね。でも、誰もがそのイメージを信じて疑わないからこそ、貨幣制度は成立しています。
【貨幣経済=信用経済】
あらゆる貨幣制度が成立するためには、この「信用」が不可欠です。誰もが「1万円札には大体これくらいの価値がある」と盲目的に信じているからこそ、1万円札の価値は保たれます。逆に誰かがその価値を疑い、こんなのは紙屑だ!と言い始めると、貨幣制度の土台は揺らいでいきます。
しかし考えてみれば、1万円札の価値は日本政府が保証したものではありません。発行者である日本銀行は、政府機関でなく民間組織だからです。その仕組みは、米ドルを発行するFRB(連邦準備制度)とて同じです。
すなわち貨幣とは、価値が暴落しいつでも紙屑に代わってしまう可能性を、常に持っているものです。
つまり現実の「貨幣価値」とは、発行者によって保証されたものではなく、使用者たる私達の信用によってのみ支えられています。貨幣経済とは信用経済なのです。
【信用経済の歴史】
歴史的に見れば、貨幣制度が民衆からの信用を得続けるために、様々な手段が用いられてきました。
①兌換紙幣
最初の頃の紙幣は「兌換紙幣(だかんしへい)」と言って、紙幣を銀行へ持ち込めばいつでも相当額の純金に交換することを可能とした制度で始まりました。つまり、金という現物資産が貨幣価値を担保した訳ですから、必然的に銀行の地下には大量の金塊が眠っていなければなりません。こうした制度を「金本位制」と呼びます。
参考:Wikipedia記事「金本位制」
②ブレトン・ウッズ体制
1929年の世界大恐慌を受け、1944年にブレトン・ウッズ協定が締結されました。その内容は、世界各国の通過は米ドルに交換できること、そして米ドルのみが金塊と交換できることを規定したものです。これにより、米ドルは世界の基軸通貨となり、国債取引決済に用いられるようにもなりました。
またその結果として、世界各国の銀行は金塊の保有量が目減りしても、貨幣制度には大きな影響が及ばなくなりました。ただし、その価値が最終的に純金によって担保されている、金本位制には変わりありません。
参考:Wikipedia記事「ブレトン・ウッズ協定」
③ニクソン・ショック
やがて1971年に至ると、ニクソンは米ドルと金の兌換そのものを停止します。ニクソンショックです。さらに1973年には、米ドルと各国通貨の為替相場を、それまでの固定制から変動制に移行したことで、金本位制は終焉を迎えました。以降、1万円札はあらゆる外国通貨と交換できるという根拠に基づいて、その価値が担保されることになりました。そしてこの体制は、現在まで続いています。
参考:Wikipedia記事「ニクソン・ショック」
④国債発行経済
現在の1万円札は、政府が国債を発行することによって造られます。国債とは政府の借用書ですから、「将来返済する」という論拠に基づいて1万円札の価値は担保されています。もう少しわかり易く言えば、返済=いずれ無くなってしまうからこそ希少=価値があるということです。
多くの人はこれを「わかり辛いよ!」と言うでしょうが、現実にはそのわかり辛い仕組みを私達が信用し承認しているからこそ、貨幣経済=信用経済は存在しています。
【1円玉の価値】
ところでこれは別の観点からの考え方ですが、日本円の担保は1円玉であると言う人達がいます。なぜなら、1万円札も千円札も、1円玉に両替できますよね。そしてその1円玉は、1円以上の現物資産としての価値があるのです。つまり金本位制と同じ考え方です。
Wikiによれば、1円玉を作るためのアルミニウム地金は、1枚当たり0.2円の価値があります。これを1円玉の原料である円盤に加工すると、その価値は0.8円となります。そして、貨幣の模様をプレスした最終的な1円玉の製造コストは、約3円だそうです。つまり、1円玉は現物資産として額面以上の価値があるので、貨幣の信用は担保されているという話です。
参考:Wikipedia記事「一円硬貨」
【電子マネーの普及と効果】
しかしこうした議論の良し悪しはともかく、この信用が恒常的に保たれるようになると、私達はついに「貨幣」という物質すら存在しない新たな通貨価値を見出しました。電子マネーの登場です。
SuicaやPASMOなどの交通系マネー、Edy、iD、nanaco、WAON、各社クレジットカードは全て電子マネーです。
思えば、電子マネー登場の予兆はずっと前からありましたよね。紙幣が預金通帳に変わり、さらにクレジットカードが普及するようになると、私達は現金を持ち歩かずとも生活できるようになってしまいました。加えて、上記交通系電子マネーの登場は、先払い式のため簡易に利用できるだけでなく、通勤・通学者への普及を契機として利用者を爆発的に増やしました。2010年7月時点までで、電子マネーの媒体主要7種類における合計発行枚数は、のべ1.5億枚を突破しています。
参考:野村総研(2010年8月26日)「電子マネーの利用実態と最新動向」
確かに電子マネーは便利です。現金を持ち歩くリスクや手間を省き、決済処理の高速化によって経済活動をスムースかつ活発化する、あらゆる恩恵を生み出します。ETCやSuicaなどはその典型で、電子決済が交通渋滞や改札口の行列緩和に寄与しました。
しかし弊害もあります。実際、書ききれないくらいあります。
ということで、次回はこれら電子マネーの問題点についての議論から再開したいと思います。
今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。
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