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この国のタブー

素人がタブーに挑戦します。
素人だけに、それみんな知ってるよ?ってこともあるかもしれませんが。
コメント、質問、大歓迎です。お手やわらかにお願いします。

 続編記事ですので、過去記事はこちらをご覧ください。
 →命を賭けて、お金の話
 →知られざる最近のお金事情(1)
 →知られざる最近のお金事情(2)
 →知られざる最近のお金事情(3)



シリーズを書き終えたつもりだったのですが、ちょっと付け足したくなりました。

シリーズ2回目の記事の中で、ポイントカードの話題に触れました。ポイント制度は、今や多店舗展開するあらゆる商店で利用されていますので、私達にも非常に身近なサービスです。しかし一方では、これが電子マネーなどのお金の話とどうつながってくるのか、疑問に思われる方は少なくないのかも知れないと後で気づきました。
ということで、今回はポイントカードの社会的コストについてがテーマです。



【ポイントカードの仕組み】

ポイントカードの前身はスタンプカードですね。これを貯めると何らかのサービスが受けられるため、お客は一生懸命ポイント貯めるようになります。一方の店舗側は、これによってお客のリピート率が向上しますので、無料サービスを提供するコストを上回るだけの恩恵が受けられます。つまり一挙両得なサービスというわけです。

経済学の消費者行動論に基づけば、こうしたポイントサービスは購買欲求を高めます。人は買い物をする際、「どうせならばお得な買い物をしたい」という心理的傾向性が必ず働くからです。これを「合理的選択理論」と言います。
 参考:Wikipedia記事「合理的選択理論」

ポイントカードはこの傾向性を上手く利用した、お得感を演出するための手段な訳です。消費者は誰しもが、1円でも安く、少しでも特典を得られる方を選択しますので。

しかし経済というものは、誰かが得をするためには誰かが損をしなければなりません。利益を追求するはずの企業が、消費者のために損をすることは通常あり得ません。これも資本主義経済の不変則です。だったらどうして、ポイントカードにはお得感があるのでしょうか。タブーのにおいがしてきませんか?



【ポイントカードの普及】

ポイントカードを劇的に普及させる切っ掛けを、私はヨドバシカメラのゴールドポイントカードと、JALカードだと思っています。
前者は、秋葉原に代表されるかつての家電値引き合戦を背景にして開発された訳ですが、内気で価格交渉の苦手な日本人には素直に受け入れられました。一方のJALカードはクレジットカードですが、これで買い物をすればするほどポイントが貯まり、ひいてはポイントで海外旅行できてしまうという優れモノです。

ちょっと本題から逸れますが、各社ポイントカード残高の資産合計を自動計算してくれるサイトによれば、登録者の最高残高は現金換算すると2,000万円近い数字です。ってホントですかねこれ・・・。
 参考:ポイ探「ポイント資産ランキング」

しかし、これだけ普及するともう、小売店はポイントサービス無しで競争していくのは難しいのではないかと思います。私が知る限り、大企業では「オーケー」くらいじゃないでしょうか。ちなみにこのスーパー、広告宣伝費など無駄なコストを一切排除し全て安値に還元するので、顧客満足度も業界ダントツ一位を独走し続けています。もちろん、ポイントサービスもありません。
 参考:浅野経営研究所(2009年8月 3日)「スーパー部門における顧客満足度第1位の「オーケー」」



【ポイントカードの仕組み】

ポイントサービスは一見、消費者にはメリットはあっても、デメリットは全く無さそうに思えます。しかし実際は全然違います。その実態を明らかにするためには、ポイント制度の仕組みを紐解く必要があります。

まず、そもそもこの「ポイント」は、一体どこで生まれて、最終的にお客に渡しているのは誰なのかを考えてみましょう。
現金を日銀が作るのと同じように、ポイントを作るのは運営会社です。マイレージは各航空会社、TポイントはTUTAYA(正確にはカルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱)です。彼らはコンビニなどの加盟店から注文が入ると、ポイントを生産します。
一方、商店側はポイントを運営会社から仕入れ、それを必要に応じてお客に還元します。

例えばこれが1ポイント=1円だったとしましょう。還元率1%ならば、100円のモノを買うとお客は1円分相当のポイントを受けることができる訳です。
しかし一方、商店側はこのポイントを、1ポイント=1円以上の価格で仕入れています。運営会社に対する手数料が発生するからです。または年間加盟店料など、少し異なる支払い体系もあると言われています。
 参考:はてな投稿質問「ツタヤ(CCC)は、Tポイント事業で、どのように儲けているのでしょうか?」

もちろんこれ以外に、ポイントを決済するための端末設備や、商店が加盟する際の初期契約料なども必要と思われ、これらは商店側が負担するコストに含まれます。これについては、Tポイントの新規加盟に関するサイトが参考になるかも知れません。もっとも、費用は不明ですけどね。
 参考:カルチュア・コンビニエンス・クラブ「T-POINT新規提携店募集!!」



【ポイント手数料はどこへ?】

この仕組みをもう少し整理しましょう。

全てのポイントは、生まれた時点で手数料が発生します。手数料こそが運営会社の儲けだからです。運営会社はポイントカードを発行し、サービスの仕組みを維持するだけです。
一方、この手数料は、ポイントを仕入れる商店側が負担します。しかしそのままでは莫大な損失となりますので、最終的には価格に転嫁せざるを得ません。お店が損をするにしても、お客が損をするにしても、どちらかが必ず損をしなければならない仕組みに変わりはありません。

他方、ポイントを発行する側には何の負担もありません。通常、貨幣価値は金本位制など何らかの裏付けが必要ですが、ポイントに担保は不要ですから。つまり、加盟店が増えれば増えるだけ、ポイントを無尽蔵に生み出すことができます。しかも彼らは手数料を天引きするのですから、「リスクゼロのぼろ儲け」という構造が見えてきますね。
さらに加えて、使われなかったポイント総額も莫大でしょう。こうした未使用ポイントが商店側に還元されるはずありませんから、これも全て運営者の懐に入ります。まさに丸儲けです。


これでもう皆さん、何となくわかりますよね。
ポイントサービスをお得だとばかり思って利用する私達は、搾取されているんです。支払った代金で生じたポイントが、いずれ消費者に還元されているというイメージは誤りです。手数料としてしっかり目減ります。
その結果、ポイントサービスの仕組みで唯一の勝者は運営者だけとなります。



【クレジットカードと似ている】

前の記事で、クレジットカードを使うと商店側が手数料を支払うという話を書きましたが、ポイントカードの仕組みも似ています。そこで、クレジットカードの詳細なメカニズムもご紹介しておきます。なお引用元は以下のサイトです。
 参考:クレジットカードポイント、マイルの技 プロが教えます

①お客が加盟店(カード決済に加盟する商店)に代金を1万円支払う
②加盟店はアクワイアラ(決済端末を設置する業者)に手数料を250円を支払う
③アクワイアラはイシュア(三井住友VISAカードなどの発行会社)に160円を支払う
④さらにアクワイアラはブランド(VISAなどの元締め)に10円を支払う
⑤イシュアもまた、ブランドに10円を支払う
⑥加盟店には、目減りした9,750円が振り込まれる

つまり、現金決済よりも損をする構図は、ポイントカードと同じです。もちろん、手数料率はカード会社によっても違いますし、250円=2.5%という数字も、加盟店によって異なります。飲食店とタクシーでも違うし、大規模FC店と個人商店でも異なります。私自身、学生時代のアルバイト先それぞれがマチマチでしたから。

ちなみに、飲食店でのお会計時、料金提示の前に「カードですか?」と支払方法を訊ねられた場合は、カードで支払うと手数料を上乗せされるものと思って下さい。水商売の世界はシビアですので、手数料はお客に負担させるのが通例なんですね。



【ポイントカードは何も生まない】

さて、こうしたサービスを運営する会社は、私は不要だと思っています。法律で規制してしまえば良いとさえ感じます。皆さんはどうでしょうか。

しかし、こうした主張が表に出て来ない背景には、財界の利益を背負った経済学者達がお決まりの反論をするからです。彼らはいつも、「カードを無くせば円滑な経済活動を妨げる」、「ポイント制度を無くせば消費行動は減退する」と言いますが、そんなのウソです。クレジットカードが無くなったって人はモノを買うし、ポイント制度が無くても、無いなりに買い物をします。恐らくGDPも変わりません。

もっと言えば、経済を語る輩の中には「景気とはカネが回る事」と言う人がいますが、これは大変な誤解です。景気とはモノが回る事であって、金はその結果として人の手を渡り歩くのです。金だけが回る経済に実態はありません。これは働かずして儲けたい人々の屁理屈です。

私達は、モノが生まれ、それが消費されるからこそ所得を得て、生きていくことができます。何も生まずに生きている人々はマフィアに過ぎませんし、この国の経済に寄生したペテン師です。ポイントカードを生み出す人々も、そんな人達だと私は思っています。

皆さん、これらかはポイント制度のないお店を選びませんか。そういう個人の零細商店こそが、正当な利益を得るべきお店、タブーなお店だと思いませんか。いきつけにしたくなるようなお店は、ポイント制度なんてやらなくたってちゃんと商売していますよ。


と、右寄りなのに今回はちょっと左寄りの話でした。
最後まで読んで下さりありがとうございました。



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