我が家のマイカーは、それこそどこにでもある2000ccのファミリーミニバンです。つまり実質は妻子の所有物ってことになりますが、建前上は私の愛車です。もっとも、前後左右のボディーにはガリガリとマーキングが加えられ、修理すら諦めたその容姿では、「愛車」と呼ぶべきかも疑問ですけれど。。。いや、妻がですね・・・。
でも胸を張って言いたい。私は大のクルマ好きです。それこそ時間と資金に余裕さえあれば、すぐにもポルシェを買いに行きます。それこそ法律さえなければ東名高速を240km/hでぶっ飛ばし、それこそ危険さえなければ富士スピードウェイの1コーナーに突っ込みますよホントに。
一般に、自動車レースなんてものはスポーツじゃないと思われがちですが、なかなかどうして。例えば、F1マシンが高速コーナーを走り抜ける時、横方向にかかる遠心力はドライバーの首をへし曲げ、肺を押しつぶします。もちろん死んじゃいますから、レーサーは毎日数時間のフィジカルトレーニングを欠かさず、コーナー旋回中は呼吸を止めてハンドルを切るんです。
参考:F1初心者講座 第2回 <ドライバー編>F1パイロットはこんなにすごい!!
そうそう、ハンドルと言えば、フィジカルが大切なのは私たちの普段の運転にも共通しています。交差点の左折時、直前に右側へ膨らむ運転をする人がいますが、実はこれ、筋力の不足によって起こる危険な現象のひとつです。
交差点への進入時、筋力(上腕筋、腹筋、胸筋など)が不足すると、必然的にハンドルを切る速度が遅れます。ハンドルを切ってもクルマが曲がらない現象を「アンダー・ステアリング」と呼びますが、切り遅れによってこれが生じることを、俗に「手アンダー」とも言います。車の速度に対してハンドルが遅れれば、車は大回りになりますから、ドライバーは無意識に、予めそれを見越して右に膨らむことで進行方向を維持しているわけです。
しかしこの動作は当然、周囲に交通事故の危険性を生じさせます。左折なのに右側へ不用意に膨らめば対向車に接近しますし、後方から左折車を追い越そうとするクルマがいれば、衝突のリスクが高まります。そして何よりも、左折時の内側で2輪車の巻き込み事故を起こすのです。
参考:自動車保険ガイド「直進する単車と左折自動車(巻き込み事故)」
では、筋力の少ないドライバーはどうすれば良いのかといえば、至極当前のことですが、スピードをしっかり落とすこと。それからもうひとつ大切なのが、ハンドルを引かないことです。左折時ならば、ハンドルを引く左手よりも、ハンドルを押す右手を是非意識してみてください。上手く押せると、とても軽く動作させることができることに気づくはずです。元全日本チャンピオンの星野一義氏いわく、「ハンドルは腰で押すんだ」そうで。
あ。それで結局、何が言ったかったんだっけか。。。
ハンドルは押す、じゃなくて、、、レースはスポーツでもない。。。
あぁそうそう、クルマが好きって話でした。(おい)
で、ここから悪口。じゃなくて本題です。
以前、プリウスの意地悪を散々書きましたが、何がそんなに悪いのか、段々とわかってきました。と思っていた矢先、マツダがエンジンの革命を起こしたニュースが飛び込んできて、またまた驚き。というエコな話がテーマです。
【エコカーの定義:一体何をもってしてエコなのか】
先日、勤務部署の社用車がプリウスに替わりまして、幸いなことにプリウスを毎週のように運転する機会に恵まれております。で実際に乗ってみた最初の感想。「怖い」。これに尽きます。
運転していてどこかがおかしい。いつもの自分ならばこんなに下手な運転は絶対しない、という自負がズタズタになるほどの、下手クソな運転しかできない。急加速、急ブレーキを繰り返し、一般道も高速も乗り心地が最悪。最初は不慣れなだけかと思っていましたが、どうも違う。おかしい。
調べてみると、私が日ごろーーモータージャーナリストの池田直渡氏の連載を読んで、なるほど納得。
まずプリウスは、加速しません。アクセルを踏むと最初はモーターで加速しますが、これが非常に脆弱。高速道路の合流どころか、信号待ちからの出足すら極端に悪い。そこで思い切ってアクセルを踏み足すと、エンジンが始動し急加速。その切り替えもスムースとは程遠いため、ブレーキで調整するしかない。結果、急加速&急ブレーキに。
一方、ブレーキの反応も最悪です。当たり前ですが、これが実に危険。ハイブリッドカーは減速時、電気エネルギーの流れを逆回しし、回生ブレーキで充電します。簡単に言えば、豆電球を繋げたモーターを手で回すと、電池を繋いでいないのに光が点灯しちゃう、理科の実験のアレです。恐ろしいことに、どうやらプリウスは、ドライバーが軽くブレーキペダルを踏んだ時点では物理的ブレーキを作動させず、強く踏むか長く踏み込んでから物理的ブレーキを作動させるのだそうです。つまり、緊急時でなければブレーキの初動が悪く作られている。これが充電のメカニズムだそうですから、驚きです。
クルマの大切な3つの機能。走る・曲がる・止まる。そのうち2つがダメ。って現代のクルマでありえないだろ!と最初は思いましたが、どうやらその辺りが、プリウスのプリウスたる所以らしいのです。
つまり、走らせない、止まらせない。追突事故よろしくとノロノロ加速して、減速しなければそのまま惰性(正しくは慣性ですが)で走ることになるので、エネルギー消費を最小で済ませます。ってそりゃそうだ。走らせなければエコになる。止まらなければエコになる。確かにごもっともですが、そんなエコは危険極まりないですよね。やっぱり納得できません。
【ところがプリウスはもう時代遅れ】
さて皆さん、テスラってご存知でしょうか。PeyPalの生みの親で米国の起業家イーロン・マスクが作った、欧米で大流行している電気自動車です。東京近郊では徐々に見かけるようになりましたので、結構売れているみたいです。自動運転の事故でもちょっと話題になりました。
2003年に設立されたこの新興メーカーが今や、世界の自動車規制を動かすトレンドになっています。
参考:池田直渡「週刊モータージャーナル」:プリウスPHV パイオニア時代の終焉
いよいよ、カリフォルニア州から始まったZEV規制という環境規制が、全米へと拡大する模様です。この規制により、これから自動車メーカーは一定割合でエコカーを売らなければ罰金を支払うことになります。ちなみにここで言うエコカーには、プリウスは含まれません。電気自動車または燃料電池車が対象であって、プラグイン・ハイブリッド(プリウスPHVなど)ですら、辛うじて例外に含まれるだけです。要するにテスラが成長しているから優遇しておいて、プリウスはターゲットということのようですね。他方では先日、追い討ちをかけるが如く仏国マクロン大統領が、「2040年までにガソリン、ディーゼル社の販売を一切停止する」という生意気なことを言い出しやがりました。(チェッ、あのイケメン野郎が!)
参考:CNN「フランス政府、ガソリン車の販売を2040年までに全廃」2017.07.07
では話題のテスラがどんなクルマなのか見てみて下さい。「モデルS」というセダンのデータだけでも、ひと言で申せば超ド級の代物です。
①大人5名+子供2名くらい乗車可能。(おい)
②家庭用コンセントで充電可能(米国規格の110V)。
③440V電源も選べて、こっちならば45分で満充電完了。
④最長500km以上走行(ガソリン車並み)、電気代は1000円くらい。
⑤0-100km/hの加速がわずか2.7秒(ウン億円のスーパーカー以上)。
⑥でも価格は高級セダンと同等(レクサスとかベンツくらい)。
すごいです。すごすぎてもう欲しいです。
あでも、ちょと待てちょと待てお兄さん。電気自動車の電気ってなんですの。火力発電?太陽光?そこはしっかり押さえておくべきです。
そもそも電気は発電の過程で大量のCO2を排出するので、エネルギーはクルマの消費のみならず、製造過程も考慮しないと比較できません。Well-to-Wheel(井戸から車輪まで)が鉄則です。その上で、全て石炭発電ベースで考えると、電気自動車はガソリン車に比べて全くメリットが無く、石油で同等、天然ガスでやっとチョイ有利なんだそうで。しかもリチウムイオン電池は、採掘と製造過程でも大量のCO2を排出しますから、その分も顧慮しておくべきでしょう。
参考:池田直渡「週刊モータージャーナル」:プリウスPHV パイオニア時代の終焉
他方、2013年時点の米国エネルギー省の推計によれば、電気自動車の維持費はガソリン車の2倍以上。この課題を乗り越えるにはまだまだ時間がかかります。もちろん、原子力にすれば目先の電気料金は確実に下がりますが、全体の維持費とかはタブーですし、敢えてそこは申しません。
参考:アゴラ【GEPR】電気自動車は「エコ」か「エコノミー」か 池田 信夫(2017.8.18)
つまるところ、電気自動車がエコってある種の幻想みたいなものなのですが、プリウスよりはずっとスタイリッシュですし、これもトレンドなので仕方ありません。ただしタブーですから、人前で言ってはいけません。
【奇才マツダが出した答えはエコの保守本流】
なんだかんだ言っても、やっぱりこれからは電気ですかね。プリウスみたいにチマチマとインチキ臭いエコやってるより、時代はテスラだよなぁ。
なんて不用意な発言をしていると、飲み屋のカウンターで私に「ちょいちょいちょい」と声を掛けられますので要注意です。いや、私には注意しなくても大丈夫ですが、広島あたりでやると赤い服着たお兄さんに「おいこらわれ」と言われるかもしれません。ほんとに。(うそ)
なぜかって、マツダが世紀の大発明をしちゃったらしいですから。
参考:乗りものニュース「マツダ「スカイアクティブ-X」の革新性とは?(2017/8/16)鈴木ケンイチ
エンジンとは言わずもがな、燃料を空気に混ぜた「混合気」を燃やすことでピストンを動かす仕組みです。エコ=CO2削減=燃料を減らすことですから、より少ない燃料でより大きな力を得ることが最大のテーマです。だから混合気を薄めて(燃料を減らして)燃やせば良いということになり、かつて日本のメーカーがこぞってリーンバーン(希薄燃焼)エンジンを開発しました。
しかし薄めると燃えづらくなり、NOx(窒素酸化物)が発生します。HC(炭化水素=つまり燃料)は空気中のO2(酸素)と結びついて燃焼し、H2O(水)とCO2(二酸化炭素)を生むわけですが、HCが足りない場合、行き場を失ったO2(酸素)が本来は安定しているはずのN2(窒素)と結びついてしまい、これが汚染物質になってしまうのです。加えて煤、つまりPM(粒子状物質)が発生しエンジンを壊してしまいます。石原慎太郎がペットボトルに入れて自慢気に持っていた、アレの仲間ですね。
と長い説明になりましたが、結局メーカーはこれら問題を解決することができず、一旦この分野から撤退した訳なんですが、なんとマツダがそれを実現したらしいのです。燃費が2割上がって、パワーも2割3割上がるみたいな、嘘のような本当の話。詳しくはリンク先を見ていただければと思いますが、本当に夢の技術です。つまり実現すると、電気自動車よりもエコになっちゃうってことですから驚きです。
参考:池田直渡「週刊モータージャーナル」:驚愕の連続 マツダよそれは本当か!
マツダは、今後もしばらくガソリンエンジンが主流であり続けると言っています。ハイブリットでも電気でもないんですって。なぜならば、これらの普及拡大には電気スタンド等のインフラ整備が必須かつ、コスト面でもガソリンエンジンを凌ぐまでには時間がかかると見ています。もちろん、ハイブリットや電気を否定した訳ではなく、取って代わるのはまだ先だよと、言っているのです。私も日ごろから、この手のエコを欺瞞だと言い続けてきたので、これで少し胸がスッキリ。
近年のマツダは業績好調で、かつて経営難に陥った時代から考えると、見事なまでに復活したと感じます。そしてその中身は、決してデザインやトレンドだけじゃないですね。エコが経営に寄与すると本気で信じている。骨のある会社だなと思います。
あ。これ経済紙じゃなくて、タブーのブログだって忘れそうですね。。。
巷で言われるエコなんてエコじゃない。でもしっかり日本には本物のエコがありますよって話です。過去記事のプリウスの悪口の原因、なんとなく伝わりましたら幸いです。遠かったですけど。あとオーナーさんには何度もすみません悪口で。
またいずれの機会があれば記事を投稿しますので、気長にお待ちいただければと存じます。
今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。