このブログにキーワード検索でアクセス頂いた方で2番目に多いのは、続編で書いている「死」に関した検索です。そして最も多いのは、テレビがつまらないことに関する検索です。実は、この結果は少し意外に感じています。なぜならば、ネット検索すれば似たようなサイトが多数ヒットしますし、このブログが検索上位な訳ありません。
ただ、テレビ不振の原因について納得いく説明をしている記事や本は、私自身とても少ないように感じています。ひょっとすると、同じような感想をお持ちの方が多く、ヒントを探しているうちにこちらへ辿り着かれたのかも知れません。
ということで、今回もテレビがテーマです。
先日、昨年の朝日新聞デジタル記事で面白いデータを見つけました。
「最近のテレビ番組はつまらない?」というアンケートで、「はい」と答えた人がなんと75%だったそうです。さらに、「はい」と答えた人がつまらないと感じているジャンルは、上位から、バラエティー(お笑い)、ドラマ、情報・ワイドという順位でした。
一方で、同じ質問に「いいえ」と回答した人が面白いと感じているジャンルは、上位から、ドキュメンタリー、ニュース、ドラマと続きます。つまり、バラエティー番組やお笑い番組のコンテンツが、テレビをつまらないと感じさせるひとつの大きな要因らしいのです。
参考:朝日新聞デジタル記事2012年6月16日「〈be between〉最近のテレビはつまらない?」
これをそのまま読み解けば、視聴者は素直にゲラゲラと爆笑したいだけです。しかし実際には、素直に笑えなくなっているのだと思います。とても当たり前のようですが、実はこれはとても根が深い問題だと思います。具体的批判をいくつか述べてみます。
【台本通りの無責任】
アドリブで番組を盛り上げる意識が欠如した出演者と、結果そうなるように編集してしまう製作者。ポロリどころか爆弾発言すら期待できませんし、トラブルや予定調和とは違った意外性という発想はありません。ましてや、それとわかるようにカンペを読みながら司会進行する上田晋也などは、もはや芸人という肩書きすら怪しくなってきます。
【癒着キャスティング】
プロダクションとの癒着キャスティングで、出演者はいつも同じメンバー同士。定番は、旬の高視聴率タレントをゲストに呼ぶ手法ですが、旬なだけに全チャンネルで見かける、代わり映えしない人です。他方で、珍しく映画俳優や大物歌手を呼んだかと思えば、単なる番宣。足らない人数はAKBで確保。もうこれは王道パターンですか。
【ちぐはぐキャスティング】
ニュースワイドショーの司会を、宮根誠司らタレントに任せて責任転嫁する手法は、以前の記事でも述べました。一方で、バラエティーの副司会は社内アナで安く上げます。これではもう本業逆転で、何が何だかわかりません。しかし残念ながら、田中みな実よりも台本を読める美人ならば、恐らくどこにでもいます。
【目障り・耳障りな編集】
CMの入れ方に象徴される、あからさまな視聴率最優先の編集。テロップや解説ナレーションの過多は、番組途中から見た人も面白いのではなく、最初から見る価値が損なわれるのです。観覧客のいない番組で、なぜ大勢の人の「へ~」が聞こえるのでしょうか。「そのとき驚きの出来事が!?」というテロップが出た場合は、大概驚きません。
【やらせ】
これはもう語るべくもありませんが、ステルスマーケティングの問題発覚によって、もっと広い意味で深刻化しています。最新の流行ファッション、行列のできる店、話題沸騰のスポット、人気急上昇中のアイドル、芸能人のマイブーム。これらを今でも盲信している人は、きっと本当に心の美しい良い人です。
と、問題個所を挙げればキリがありませんが、それが本意ではありません。私が指摘したい最大の問題点は、次の2つです。
第一の問題は、上記の手法が組織的確信を持って行われていることです。「やらせ」問題については、内田樹は「発掘あるある大事典」の納豆ダイエット捏造問題に触れて、次のように述べています(著者は番組名を述べていませんので作者注記です)。
(以下『街場のメディア論』より引用)
新聞は一斉にテレビの「やらせ問題」を叩きました。でも、僕はそのときにこれはおかしいんじゃないかと思った。どこの新聞の社説にも、「こんなインチキな番組を作って視聴者をだます、なんて信じられない」というようなことが書いてあったからです。
「それは嘘だろう」と僕は思いました。テレビが「そういうこと」をしているのを新聞記者なら知っていて当然だからです。
(中略)
しかし、実情を知っていながら、刑事事件になるまで、新聞は「知らないふり」をしていた。それで新聞はメディアの責任を果たしていると言えるのか。
(引用ここまで)
この指摘には反論の余地がありません。ましてやテレビ局自身も報道機関です。社内の番組制作現場で何が行われているのかくらい、組織として十分に理解しているはずです。製作者各々は疑問を持っているかも知れませんし、上層部も止むを得ないのかも知れません。しかし気付いていないはずないでしょう。この自浄力の無さが、悲しいかなメディアの現実です。
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そして第二の問題は、上記のような現実に、既に多くの視聴者が気づいてしまったことです。面白い番組を見て楽しもうにも、こうしたテレビの裏事情が透けて見えてしまうのです。
「この料理研究家、ド天然で面白いね。彼女の店って所在地すら秘密なんだって!すげえな。どんだけ美味いのかね?」
「あははは。味は知らないけど見た目はひどいってネットで評判よ。しかももうすぐ店潰れるらしいしね。」
「へ?そんなにひどいなら、何でこの人テレビに出られるの???」
「さぁ?二股騒動で有名になる前は何してたんだろうね。芸能界のコネでもあるんじゃない?」
よくあるいつもの妻とのやりとりですが、こうなってしまうとさすがに番組を楽しく見ることは難しいです。もはや美味しいかどうかという真実は問題ではありません(食べてませんから述べようもありませんが)。この番組はウソに埋め尽くされているかも知れない、という不信感が問題なのです。こうして裏事情が透けて見える毎に、視聴者はどんどん冷めていきます。
では、面白いテレビはどうすれば復活できるでしょう。ひとつの方法として、私は生放送が有効だと思っています。
現在のプライムタイム(19-23時帯)はほとんど収録ですが、これを生放送にどんどん切り替えていきます。当然ながら、パターン化したシナリオの多くはこれで打開できるはずです。またキャスティングについても、生放送に耐え得るだけの技量が要求されます。技術の無い方は技量を上げるか、そうでなければ、プライムから去ってもらうほかありません。さらに、タレントスケジュール調整の難しさが、逆にキャスティングを一新する方向にも働くはずです。
かつて、金ちゃんやドリフターズはそうした生放送バラエティーで大ブームを引き起こし、DVDや動画サイトでは今でも人気です。懐古主義と言われてしまうかも知れませんが、この時代にそうした番組作りを、もう一度試してみるのもひとつではないでしょうか。
余談ですが、私が毎週録画して必ず観る番組はたったひとつ。テレビ東京の「ゴッドタン」という深夜の30分番組です。出演者もプロデューサーも、根っからの笑いを強く意識して番組を作っているのが伝わってきます。「俺たちひょうきん族」や「元気が出るテレビ」とまではいきませんが、落ち込んでいる時でも素直に笑えます。お笑い番組好きの方は、ぜひ一度ご覧になってください。
参考:テレビ東京公式ページ
今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。
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