参考：過去記事「魂とお盆とお葬式」
参考：過去記事「寝苦しい夜に涼しい話（２）」
昨日夕方、子供を連れて近所の親水公園で行われた「灯篭流し」に参加してきました。
川崎市中部、中原区と高津区の境界を走る「江川せせらぎ遊歩道」は、かつては工業排水で汚染されていたドブ川でした。やがて、汚染と悪臭に苦しむ周辺住民が立ち上がり、今日の大規模公園施設に整備されるに至ったそうです。今でも町ぐるみの維持管理が続けられており、桜のトンネルや数百の鯉のぼり、カルガモ出産シーズン、ホタル放流など、毎月のように何かしらのイベントに遭遇することができます。
参考：森とせせらぎネット
ただし、ここの主たる水源は湧水と下水処理水ですので、水に入ることはできません。それでも鯉やナマズ、金魚やザリガニがいますので、週末になると子供連れが集まっては魚取りに励みます。水温が高いため、幸か不幸か、誰かが放流してしまったグッピーが大繁殖しています。
また、この遊歩道上には四季を通じて草花が咲き乱れるのですが、これらは主にボランティアの手によって整備されています。近隣住民の参画意識がとても高いため、雑草が生い茂るようなことはまずありません。散歩していると、知らぬ者同士が自然と声を掛け合ってコミュニケーションをする雰囲気もあり、子供のいる我が家にはとてもありがたいスポットですが、景観も相まって、遊歩道周辺の不動産価格はちょっと高めです。
で、ここで昨日行われたのが上記リンク先のページトップにも写真がある、灯篭流しです。
【灯篭流しと精霊流し】
（以下、Wikipedia記事「灯篭流し」より引用）
灯籠流し（とうろうながし）または精霊流し（しょうりょうながし）は、死者の魂を弔って灯籠（灯篭）やお盆の供え物を海や川に流す日本の行事。灯篭流しとも表記する。
（引用ここまで）
これは前回記事の続きになりますが、お盆で使った供え物やキュウリとナスの牛馬は、かつてはお盆を終えると川へ流していました。また、一緒に紙や木で作った灯篭に火を灯して流すことで、これを送り火としたようですね。余談になりますが、京都や奈良、箱根等で行われる大文字焼きもまた、こうした送り火の一種と言われています。
現在では、河川や海の汚染源になるためあまり行われなくなった風習ですが、見た目が風雅で涼しげなので、近所のせせらぎでも行われているんですね。
ちなみに、この公園の四季の様子やイベント情報は、以下のリンク先にあるブログにも足を運んでみてください。私自身も、このブログを通じて作者の田中さんと知り合い、昨日もイベントにご一緒させて頂きました。
参考：森とせせらぎネット 森とせせらぎネットの活動記録
またこの灯篭流しでは、イベントの最初に乙女文楽（おとめぶんらく）の野外無料公演も行われました。これは人形浄瑠璃の一種なのですが、言わば鎮魂の浄瑠璃と言ったところでしょうか。とても荘厳で幻想的でした。
参考：公益財団法人現代人形センター「ひとみ座乙女文楽」
【魂は送り火とともに帰るんじゃ？】
お盆に帰省する魂は、迎え火と共にやってきて送り火と共に冥界へと戻っていく･･･はずなんですけどね。昨夜、不思議なことがあってあまり眠れませんでした。
深夜。眠っていると妻に起こされました。
聞けば、玄関で寝ている愛犬が夜中に珍しく騒ぐので、トイレかと思って散歩へ出たそうです。しかし帰宅すると、玄関に一匹の蝉が迷い込んできてしまい、捕まえられないと言うのです。
仕方なく、私はその蝉を捕まえて玄関から放ちましたが、再び玄関に入ってきてしまいました。そんなことを繰り返し、何度かやって上手くドアを閉めることができたのですが、今度は蝉がドアに衝突するのです。バチバチバチっと。愛犬はその羽音を怖がって、一層落ち着きがなくなってしまいました。
と、ここでふと例の話を思い出しました。過去記事冒頭で触れた、魂が虫に姿を変えてやってくるという話。ひょっとすると、あの人かあの人かあの人が、うちに寄っていきたかったのかぁと。でも、ついさっき送り火したばかりなんですけどね･･･。
参考：過去記事「寝苦しい夜に涼しい話（２）」
天寿を全うしつつある蝉が、玄関先の外灯につられて飛んできただけ。と言えばそれまでですが、何だかとてもかわいそうになってしまいました。もう一度やさしく捕まえて、私の手の中でじっとしている蝉をしばらく眺めた後、近所の学校へ行って桜の木へと逃がしてきました。
あぁ、お盆だなぁ。と、しみじみ感じる1日でした。
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