憲法9条改正、軍備増強、国防軍創設、核保有。
日本ではこの話題はずっとタブーでした。右寄りの私はこの話題を普段から全く厭いませんが、それでも飲み屋で話題に出す時はかなり気を遣います。
戦後、GHQに押し付けられた平和憲法は、私たち日本人の心を見事に骨抜きにしました。日本は侵略国だから、国防軍を保有できないどころか、戦闘機の自国開発すらできません。核兵器保有論など持ち出せば、すぐさま極右だとレッテルを貼られてしまい、ともすれば頭がおかしいとか言われてしまいます。でも、そろそろ冷静に議論しても良いのではと思います。
そんな中、第二次安倍政権は「戦後レジーム(戦後体制からの脱却」という言葉を就任以来、使い続けています。これってどういう意味なんでしょうか。
さて、今回のテーマは軍事です。
私の立場や主張が気になる方は、以下の過去記事を参考にしてください。
参考:過去記事「右翼ってどういうこと?」
【軍事力は外交力】
上記の過去記事にも述べていますが、外交手段には本質的にアメとムチの2つしかありません。すなわち、技術的支援や経済援助を与えるか、あるいは軍事力や経済力で圧力を掛けるかの二者択一です。だから、村山富市の「土下座外交」も鳩山由紀夫の「友愛外交」も、結局は日本の外交力に何ひとつ寄与しませんでした。
日本は既に、多額のODA等によって世界最大の海外援助国です。親日国だけでなく、反日国に対してすら支援してきた歴史があります。つまり、アメはもうやり尽くしている訳です。
一方のムチは、非常に貧弱です。かつては世界最大の工業輸出国として一定の立場を保てた時代もありましたが、食料資源もエネルギー資源も鉱物資源もほとんど輸入ですから、経済的なカードはもはや存在しません。となれば、残された手段は軍事力しか残っていないのです。
つまり、米国、ロシア、とりわけ中国などの大国と対峙するため、その手段としての軍備増強は、私は避けられないと思っています。少なくとも「戦後レジームからの脱却」とは、そういうことだと理解しています。
【輸入兵器はいつも2番煎じ】
島国である日本は、他国の脅威に対して航空戦力と海上戦力は特に重要です。しかし主力となる戦闘機は、いつも米国の2番煎じを高値で買わされています。世界最強と名高いF-22は結局売ってもらえず、それよりも性能の低いF-35を導入するそうです。しかも、当初は安価な機体とされていましたが、開発中に何度も事故を繰り返した結果、性能が劣るのに高価な機体になりました。
参考:Wikipedia「F-X(航空自衛隊)」
米国は、同盟国と言えども日本に最新兵器は供与しません。戦闘機もそうですが、護衛艦のイージスシステムも同様です。でも高値で売りつけてきます。
しかし他方、嬉しい出来事もあります。次期輸送機C-Xと、最新対潜哨戒機P-1は日本独自開発です。C-XのエンジンはGE(ゼネラル・エレクトりック)製ですが、P-1のエンジンはIHI(石川島播磨重工業)製で純国産です。三菱重工は小型旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」を、また本田技研はビジネスジェット機「HondaJet」を開発するくらいの技術力があるのですから、いっそのこと戦闘機も純国産で作れば良いのにといつも思います。
参考:三菱航空機サイト「MRJ」
参考:本田技研サイト「HondaJet」
しかし現実論はそう甘くありません。戦闘機を国産で賄うとなれば、米国はあらゆる制裁措置を講じてくるでしょう。かつて日本が「土建国家」と呼ばれ、公共投資を建設産業に依存していたように、米国の公共投資は軍需産業に依存しています。つまり米国経済にとって「戦争」とは、巨大な消費と雇用を生み出す公共事業なのです。もしも日本が米国から兵器を買わないとなれば猛反発するでしょうが、それこそ戦後レジームからの脱却に他なりません。
【技術は最高でも苦しむ軍需産業】
三菱重工、川崎重工、IHI、住友重工、三井造船、日立造船。世界最高水準の造船技術を有しながら、08年をピークに業績は低迷を続けています。原因は、世界経済の縮小に加えて、コストの安い韓国と中国にシェアを抜かれてしまったことですが、技術水準では何とか世界一を維持し続けています。
参考:msn産経ニュース(2013.5.8)「造船重機5社決算 空と海で明暗」
しかし、技術はいったん失われてしまうと取り戻すのが困難です。だからこそ、軍需産業は国を挙げて保護・成長支援を行わなければなりません。国内需要で食わせることが難しければ、軍艦を海外に輸出することも必要だと思うのですが、それを邪魔するのが「武器輸出三原則」なる法的根拠もない暗黙のルールです。
参考:Wikipedia記事「武器輸出三原則」
【輸出しないのに輸入はする矛盾】
昨年、唯一の純国産DRAM(半導体記憶装置のひとつ)メーカーであるエルピーダメモリが経営破綻しました。DRAMは自動車や家電製品のみならず、兵器にも絶対に欠かせない部品です。にもかかわらず、この会社を日本政府は見捨て、米国マイクロン社に売却してしまいました。
参考:Wikipedia記事「エルピーダメモリ」
これがどういうことか、皆さんはお分かりになるでしょうか。要するに、日本の兵器の中核部品が、他国の手で製造されるということです。これでは安全保障もへったくれもありません。事実、米国議会では、自国製兵器に多数の中国製偽造部品が使用されていて、それが安全保障上の深刻な問題を生んでいる」ことが指摘されています。
参考:JBpress(2012.05.30)「発覚!米軍兵器に巣食う大量の中国製偽造部品」
もう、どなたもお分かりでしょう。国内の軍需産業を保護することは、安全保障の観点から非常に重要なテーマです。しかしながら、兵器は常に高度化するものであり価格も上昇し続けますから、日本政府が全ての軍需産業を食わせることはできません。だからこそ、第三国との兵器共同開発や、同盟国への兵器輸出も考えていかなければならないのです。もはや、武器を売る側はダーティーであるというような精神論では解決しません。
日本政府は「武器輸出三原則」を長らく聖域にしていましたが、第二次安倍政権はこれを緩和しました。ただし、紛争地域や反日国家に対しては売却しませんので、その点は強調しておきます。
参考:デイリースポーツオンライン(2013年7月23日)「安倍政権、武器輸出に新指針検討」
【核兵器を保有する意味】
核武装はとてもナイーブな問題です。科学的論拠と言うよりも、原爆を落とされ被害に苦しみ続けた国としての感情的問題が深いからです。しかし、それでも私は核武装を論じるべきだと思っています。批判を覚悟で敢えて言いますが、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」のです。原爆を落とされたという経験則を乗り越え、国際政治の歴史から考える時が来ていると思っています。
なぜならば、前述のような通常兵器の議論をいくら重ねたところで、北朝鮮が核ミサイルを1発でも保有してしまえば、全ての理屈は水泡に帰します。核兵器とはつまり、最も安価な安全保障手段であるにもかかわらず、外交戦略上最強のカードです。にもかかわらず、日本は「非核三原則」というルールを作り、やはり聖域化してきたのです。
参考:Wikipedia記事「非核三原則」
以前、バラク・オバマが就任直後、「核兵器を廃絶する」と言っただけでノーベル平和賞を貰う珍事がありましたが、こんな話は真実の平和とは一切関係がありません。老朽化して、もはや政治的な意味も失った古い戦略核ミサイルを、単に廃棄処分するという話だからです。何より“言っただけ”であって、削減はしていますが廃絶はしていません。
私は、自分の家を自分で掃除すると言ったくらいで貰える「ノーベル平和賞」に、権威も価値も全く感じません。一刻も早く廃止すべきだとすら思っています。
やや話が少し逸れました。
世界の核保有国は、米英同盟、仏、ロシア、中国の5カ国。そして対立を続けるインドとパキスタンの両国です。さらに、北朝鮮とイランとシリアは、核開発疑惑が濃厚です。これら国々は、核兵器と言う最強のカードを使って、米国にもロシアにも屈しません。つまり核が外交力を高めているのです。
【核兵器は使用されない兵器】
東西対立が冷戦、つまり冷たい戦争に収まっていたのは、核兵器によるMAD(相互確証破壊)という考え方に基づきます。核保有国のどちらか一方が先制攻撃すれば、その国が亡びるくらいの反撃が必ず待っている。だから核兵器は使用されません。第二次大戦時、もしも日本が核保有国であったならば、原爆も投下されることは無かったはずです。
参考:Wikipedia記事「相互確証破壊」
そして現代では、核兵器は使えない兵器になってしまいました。もし1発でも核を発射すれば、その国は世界を敵に回すことになるからです。また、放射能に汚染された敵国を占領する意味もありません。現に米国は、アフガンもイラクも最もコストの高い通常兵器で戦いました。数千人の兵士が戦死しても、核は使えないのです。
つまり核は、使用を前提としない兵器であり、脅しにだけ使うものです。だから核を保有することと平和を願うことは、一見矛盾するようで実際は矛盾しません。まず、これを理解することが大切です。
田母神俊雄は著書で、「ニュークリア・シェアリング・システム(核兵器の共有)」を提唱しています。これは、米国の核ミサイル発射ボタンを日本が持つという手法ですので、「非核三原則」を撤廃せずとも実現可能性があります。Wikipediaによれば、実際にベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、カナダ、ギリシャ、トルコがこの仕組みに参加したそうです。
参考:Wikipedia記事「ニュークリア・シェアリング」
更に言えば、この「脅し」はボタンすら持たずとも、核保有を議論するだけでも大変重要な意味を持ちます。その効果については、北朝鮮の瀬戸際外交戦略が証明しているでしょう。だから私は、日本も核武装の議論を始めるべきだと考えます。
【絶対に避けて通れない9条改正】
核兵器には、相手国を大規模に破壊し勝敗を決するための「戦略核兵器」と、特定の戦場をターゲットにして使われる小型の「戦術核兵器」の2つがあります。
「戦略核兵器」は、現代の戦争においてはほとんど役割を終えています。前述の理由もさることながら、ペイトリオット迎撃ミサイルの登場は弾道ミサイルの確実性を低下させたので、そもそもMADが成立しない可能性があるのです。
参考:防衛相・自衛隊「弾道ミサイル防衛(BMD)システムは、どのように構成されていますか」
そこで重要になってきたのが、「戦術核兵器」です。小型の核弾頭は既存の戦闘機にも搭載可能ですし、将来的には巡航ミサイルへの搭載も極めて現実的です。地上だけでなく艦船や通常型潜水艦から多数発射できるようになれば、迎撃は極めて困難でしょう。つまりMADが成立することになります。
日本は残念ながら、「非核三原則」のお陰で原子力潜水艦を保有していませんが、最新鋭の「おやしお型潜水艦」はスターリングエンジンを搭載し、世界最高水準の静粛性(海中では音が唯一のレーダー)を実現しています。
しかし、これらの話は全て、憲法9条に阻まれて実現されません。現代の戦争は先制攻撃こそ全てと言われますが、専守防衛しか行えない自衛隊は、巡航ミサイルすら保有できません。韓国には米国から供与されていますので、これは日本側の問題です。今こそ改憲が急務なのです。
【米国に屈するのはやめよう】
「戦後レジームからの脱却」とは、すなわち日本が独立国としての威信を取り戻すことです。私もひとりの日本人として、軍拡ありきの議論は決して本意ではありませんが、今のところ国際政治において、外交力は軍事力によって裏付けられるものです。インドとパキスタンを見れば明らかなように、米国は「核を持つぞ」と言った国には圧力を掛けますが、持ったとたんにうるさい事を言わなくなります。そんなものです。
歴史上、実際の戦争で核兵器を使用したのは米国だけです。そして核兵器で攻撃されたもは日本だけです。しかし、米国に真っ向から抗えた有色人種も日本人だけです。
米国の勝手なイニシアチブにはうんざりですし、同じように考えている国は沢山あります。だから今こそ、核武装のタブーはやめて、議論を始めたいのです。死の商人たる米国には、世界平和を実現する気など毛頭ありません。それができるのは、国際社会で自立した日本だけだと私は思います。
ところで最後に余談ですが、ご縁があって今年も富士総合火力演習を特別枠のチケットで観覧させていただけるようです。つい先日も海兵隊創設の必要性が報じられたばかりですから、自衛官の皆さんも相当の意気込みでしょう。全力で応援してきます。
今回も最後までお付き合い下さりありがとうございました。
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