邦人救出をしない日本 | この国のタブー

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素人だけに、それみんな知ってるよ?ってこともあるかもしれませんが。
コメント、質問、大歓迎です。お手やわらかにお願いします。

北朝鮮の拉致問題が相変わらず進展を見せません。
同胞を救えない日本人として、忸怩たる思いを抱きます。5月の飯島参与の訪朝は、実際の所どうだったのでしょうか。失敗説ばかり唱えるメディア報道はあまり信じていませんが、それにしても歯がゆいですね。状況の進展を願ってやみません。
 参考:msn産経ニュース(2013.5.23 )「北朝鮮訪問で飯島参与「事務協議は終わった」」 



【自衛隊法という足枷】

さて、日本は海外にいる邦人に危機が迫った時、どんな行動ができるのでしょうか。
自衛隊は法律によって縛られ、積極的な救出活動が展開できません。それは、自衛隊法が世界でも稀な、ポジティプリストに縛られているためです。

ポジティブリストとは、「やって良いこと」を規定した法文のことです。つまり、ここに書かれていない例外事項が生じても、自衛隊は見て見ぬ振りしかできません。味方が撃たれても、日本人が殺されても何もできません。してはいけないのです。
それが自衛隊法です。

もしこのルールを破れば大変です。例えば、日本に上陸した工作員からの発砲に対して勝手に反撃し殺せば、その自衛官は殺人罪に問われてしまうのです。また恐らくそんなことになれば、朝日新聞に毎日新聞、社民党に共産党あたりが、一斉に騒ぎ立てるでしょう。責任者が何人もクビを切られるであろうことも予想に容易いです。
ちなみに東日本大震災では、津波が迫っているにもかかわらず戦闘機を空に上げることができず、高価な資産を水没させただけでなく一時的な国防力の低下をも招きました。
 参考:朝日新聞デジタル(2011年4月21日)「津波で水没のF2戦闘機、分解調査へ 修理可能か見極め」


一方、世界のあらゆる軍隊は「やってはいけないこと」だけを規定する「ネガティブリスト」によって行動します。戦時国際法も同様です。つまり、民間人を殺すなとか、捕虜を虐待するななどのルールさえ守れば、独自の判断であらゆる行動ができるのです。

これって危機的な格差だと思いませんか。これで自衛隊に国を守れなんて、おこがましいにも程があります。だから自衛隊は、拉致被害者の特殊救出部隊すら組織できません。意識も能力も十分あると思います。でも、できないのです。
 参考:msn産経ニュース櫻井よし子提言(2013.2.14)「自衛隊変革へ議論深化」



【海外紛争における看過の歴史】

海外で紛争が起こった場合、普通はどこの国も、あらゆる手段を講じて自国民の救出に当たります。しかし日本はそれができません。

以前の記事でも述べましたが、85年のイラン・イラク戦争では、自衛隊派遣については社会党が国会で猛反発、日本航空のチャーター機も労働組合が拒否しました。結局、200人の在イラン邦人はトルコが救い、エルトゥールル号の恩に報いてくれた形になりました。
 参考:過去記事「隣国と遠国」

またこれは最近知ったのですが、この救出機の機長を努めたオルハン・スヨルジュさんが、今年亡くなられました。私が記事を書いた少し後だったそうですね。感謝の念を込めてご冥福を祈りたいと思います。
 参考:Wikipedia記事「オルハン・スヨルジュ」



【自衛隊法の矛盾と限界】

どうして自衛隊は、こういう時に積極的な救出ができないのでしょうか。それについては、獨協大学の竹田いさみ教授の資料を読み込んでみるとわかりました。

97年、カンボジアの首都プノンペンで武力衝突が起こります。やはり政府対応は遅れ、日本航空は組合が反発します。やがて取り残された邦人を救出するため、自衛隊はC-130輸送機をタイのウタパオ海軍基地へと前進配備するのですが、結局何も行動できないうちに事態は沈静化しました。
この同じ年の初旬には、アルバニアでネズミ講破綻を切っ掛けに暴動が発生したのですが、この時も救出はできず、10名の邦人は結局ドイツ軍によって救出されています。

障害となるのはいつも自衛隊法です。現行法は、「緊急事態の発生という条件と、輸送の安全が確保されるという条件」という矛盾を抱えているのです。よって救出に行けません。
 参考:獨協大学の竹田いさみ教授「海外紛争での邦人救出問題にいかに対処するか」

まだあります。さらに翌98年にも、インドネシアで通貨危機をきっかけとした暴動が発生します。しかし、この時もカンボジアと全く同じ状況が起こりました。
日本航空も最低ですが、一体これは何なんでしょうか。全く腑に落ちません。
 参考:田母神さんの腹心 石井よしあきブログ「インドネシア通貨危機」



【憲法改正・国防軍設置】

誰だって戦争はしたくありません。しかしこんな憲法はもう変えるべきだし、自衛隊は軍として正しく位置づけるべきだと思います。もちろん反対意見があっても構いませんが、タブーにせず議論はしなければなりません。


先日、都議選で自民党が大勝しました。世は保守の潮流にあり、7月には参院選が控えています。今こそ、国民の生命と財産を守れない国を真剣に変えるべき時が来ていると感じます。

今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。



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