1年くらいになるかな…
初めは月に1回ぐらい来店されてて、
携帯電話を買いたいとのことで
必要な持ち物を紙に書いて渡してた。
今年に入って頻繁に来店されるようになって、
スタッフ全員が接客済み、
何か様子がおかしいと確信したのは
今年の5月。
実際に携帯をお買い上げ頂く時に
必要な物をメモした紙を持っていたのに
何ひとつ持っていなかったのを
目の当たりにした時だった。
さすがにこのまま売れないから
身内の方に連絡。
おばあさんは一人暮らしで、
息子さんが遠くにいる
とのことだったので電話。
なにかあった時の為に持たせて欲しいと…。
かけ方、充電方法、電話帳、電源ON、OFF、電池
操作に関するコトから
昔の話、世間話、帰り方、家の電話について
何回も何回も同じ話をくり返す。
重要なことを毎回一つに絞って紙に書いて覚えてもらってる。
電源のON・OFFも
充電器の使い方も
電話のかけ方も
電話帳の使い方も
電池はくり返し使えることも
最初はまったくわからないことも
当たり前になってきてる。
毎回もどかしさを感じながらも
あきらめないって大事
って自分に言い聞かせながら…
1週間に1、2回の来店回数から
2、3日に1回になってる。
おばあさん自身も何かオカシイ
と思っている様子だけど
それもスグに忘れてしまう。
つい最近までメモした紙を
何かしら持ってたけど
それすらなくなってしまった。
おばあさんは私はバカで無知だから
と何回もくり返す。
私は何回も大丈夫と返す。
何が大丈夫だって返される。
私は大丈夫って返す。
また来るよ?いいの?って返される。
いつでも来てくださいって返す。
また顔見にくるよって返される。
待ってますとくり返す。
帰る時のおきまりの挨拶。
私はたずねる。
これからどこに行かれるんですか?
おばあさんは
ごはんを食べると答えたり
病院に行かなきゃねと答えたり
家に帰ると答えたりする。
私はたずねる。
今日は何しに来られたんですか?
おばあさんは当たり前のように
メモが貼ってある携帯を指差す。
私はおばあさんが帰ったあとは
いつも泣いてた。
生きるってなんなのか
わからなくなってた。
今を生きるということは
あたり前にできることを
増やしていくこと?
それを忘れなくなるまで
記憶に焼き付けること?
忘れてしまうコトに執着しないこと?
覚えるコトに執着しないこと?
執着の執に
幸せ
って漢字が入ってるのが気になる。
こだわる方法を少しクズシテミル
今を生きるということ
それは一瞬であると
少しわかった気がする。