予知夢!?

オレは研修医。

その日は、オペを見学に行くことになった。

10人くらいの同期の研修医と共に…


手術室に入ると
そこには上半身だけの人間が"ある"だけだった。

そう。
オペと言っても
生きた人間を手術するのではなく
死んだ人間の解剖だったので
手術台の上には上半身だけの人間があったのだ。


教授が死因の説明をいろいろしている。
しかし、オレの耳には
教授の話が聞こえてこない。

まるでオレ1人だけ
別の空間にいるかのよう
オレの回りにだけ透明な壁があるかのように…


その中で
オレは死体を食い入るように見つめる。

教授がメスを手にした。
どうやら説明が終わったみたいだ。


教授は何のためらいもなく
死体の胸を豪快に
切り開きはじめた。

そのときの
メスを入れ、開く瞬間の音だけは今でも耳に残って離れてはいかない。

それでもオレは
目を逸らさずに
死体を見つめる。

この人の死体は
どうやら肺を患ったみたいだ。

教授が肺を示して
何かまた説明をしている。

このとき何故、
これが肺だってのが
わかったのかはわからない(見たことがなければ、教授の説明はオレには聞こえていないから)けど、そんな気がした。

教授が肺の解剖もはじめたときに
肺が弾けたように

オレは夢から覚め
現実に戻ってきた。



生まれ変われるのであれば
医者になりたいと思うオレの嬉しいような寂しいような夢の中で叶えた夢でした。