この話はずいぶん前の話・・・・・・あの頃の思い出話
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受話器を取ると、彼女の声が
「ゴメンね、なかなか連絡できなくて」
「忙しいんだろ・・・・」
僕はぶっきらぼうに答えた
「ねえ、今夜時間ある?」
「ああ、少し遅い時間になるけど」
「遅くてもいいから、来てくれる?・・・食事作って待ってる」
仕事は7時に終え・・・・・何故かそのままは足が向かず、
9時半を過ぎて彼女の部屋を訪ねた・・・
「お疲れ様、ちょっと早めに作ったから、少し冷めたかも・・・」といってテーブルに
「美味しいよ・・・・ただ・・・・」
「何よ・・・・さっきから不機嫌そうに・・・・」
彼女は怪訝な眼差しで僕を覗き込んだ
「何か話があるんだろ」
「うん、あのね」
「しばらくの間、博多の新しい店を手伝ってくれないか?って」
「そう・・・・・」
こんな話、突然で予測できなかったけど、あえて気の無い返事をしてしまった
「いいの」
「いいって・・・・それはきみが決めることだろ・・・・」
自分の近くにいろって言いたかったけど、そんな言葉が出てしまった
「なんか、冷たい言い方ね・・・・今日の貴方・・・何か変・・・」
「迷ってるから・・・ちゃんと貴方に話してね、決めたかったの・・・」
「だれかに望まれているなら、そうしたら・・・」
また、心にも無い言葉が出てしまった・・・・
「そんなんじゃない、貴方に・・・・・・」
「忙しいだろうけど、少しだけ、私のこと考えてくれる??」
それから、あまり言葉を交わさず、2時間ほど経って彼女の部屋を出てしまった
僕はどうしたかったの?・・・・ 何を言いたかったんだろう?
彼女の気持ちを何故理解しようとしなかったんだろう
自分の判断が出来ずに、大きくお互いの行き先を狂わせてしまった瞬間
そんな風に悩ませた時間
ただ、僕に勇気が無かっただけ・・・・・・・???




