食後に楽しむカクテルのひとつに、スティンガーがある。

 

Stinger-Green-Mint


ブランディにホワイトペパーミントを混ぜるだけの、ごく簡単なカクテルだ。


今世紀初めのころ、ニューヨークで生まれたという。


スティンガーは"刺すもの"といった意味で、蜂やサボテンなどの針やトゲのことを言うスティンガーからきている。


口当たり、喉越しの一瞬に感じる、あのペパーミントの刺激から、

 

その名がついたようだが。デザートカクテルだけに、ちょっと甘く、重い味の酒である。

 


 夜、9時。ホテルのバーのテーブルの席で、男はこれ以上ない上機嫌な気分で、そのスティンガーを飲んでいた。

 

口に広がるブランディーの味も、グラスに漂うミントの香も、今夜はなんと甘く切ない・・・・。

 


テーブルの向かいには、やっとふたりだけのデートを承知してくれた女が、

 

指でつまみ持ったカクテルグラスに愛らしい唇を寄せ、やはりスティンガーを飲んでいる。


その白く張りのある長い首が、食事中のワインの酔いも手伝って、薄桃色に染まっている。


くるくると動く魅力的な眼も、いくらか潤んでみえた。


彼女をあきらめないで良かった、もう一杯ずつ飲んだら、バーを出よう。

 

ここへこぎつけるまでの手間どったぶん、男の期待はいっそうに膨らんでいた。


 まさか!、まさかそこへ、よりによって女房が現れようとは!


バーに入ってきた、自分の妻に気がついた時、男は声にならない声を上げ、思わず中腰になった。

 

向かいの女もつられて背後を振り返る。

 

 

 

 

 

 


 この一説は、オキ・シローさんの書き下ろした、ショートストーリー「スティンガーの苦いトゲ」の出だしの部分です。 

 

 

 

 

 

こんなシーンって、みなさんは経験 してませんか? 僕は幸か不孝か経験していません

 

 

実はね、この物語、この後が面白いんです

 

 

興味がある方は、安いですから本を買ってお読みくださいね(^^♪

 

幻冬舎文庫  COCKTAIL STORY

「寂しいマティーニ」  オキ・シロー

1997年12月出版

 

古本屋さんで探した方が早いのかもしれません

 

スティンガーについてもう少し詳しく説明しておきます

 

レシピ

ブランディー・・・・・・3/4

ホワイト・ペパーミント・・・・・1/4

 

材料をシェイクし、グラスに注ぎます

 

 

 

20世紀初め、ニューヨークのレストラン「コロニー」で創り出され、世界中に広まりました

 

小説の説明通り、スティンガー"Stinger"は動植物の針のこと、ツンとくるペパーミントの香りが快い刺激を与えてくれるから名づけられたものと思われます。

 

ちなみに・・・・・ホワイト・ペパーミントをグリーンに変えると「デビル」という名になります

 

この名前に物語のキーがあるんですが・・・・・・・

 

 

 

 

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