"A BEST"という名の共通言語 | 浜崎あゆみ批評

浜崎あゆみ批評

平成の歌姫の【過去・現在・未来】を語ります。

終わりなき悲しみは、
15年の歳月を経て永遠に癒えぬ傷となり、
私の心に刻まれた。 

共に生きて行く覚悟は、出来ている

―浜崎あゆみ


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A BESTの発売から15年、「A BEST -15th Anniversary edition-」としてA BESTが新たに生まれ変わった。


この記事では、“今A BESTを目の前にして感じること”をありのままに綴りたいと思う。


まずは、そもそも2001年に発売されたA BESTにまつわる話から。

実は、筆者は発売時にリアルタイムでA BESTを聴けていない。

というのも浜崎あゆみファンになったのが、2003年の「No way to say」からだからだ。


ファンになってからというもの、過去のシングルやアルバムを中古で買い漁っていた。

2003年当時、ベストと呼ばれるものはA BESTとA BALLADSぐらいしかなかった。

当然、どちらも中古で買った。


が、しかし。

正直、「ふーん」という具合だった。

どちらかといえば、オリジナルアルバムの方が好きだった。

その時々の浜崎あゆみの心情や、1枚1枚違ったストーリーを感じられる点で、オリジナルアルバムは非常に魅力的だった。


それとは対照的に、A BESTは良い曲が集まっているのは分かるが、白黒だし、全体的に雰囲気が暗いし、正直積極的に聴こうという気にもならなかった。


という経緯があり、これまでA BESTを聴く機会はほとんどなかった。


それから年月が経ち、

・A BEST 2
・A COMPLETE ~ALL SINGLES~
・A SUMMER BEST

と様々なベストが、リマスタリングを施され発売された。


そうすると、自分の中でますますA BESTが遠い存在になっていった。


というのも、A BESTはなんとなく音が古臭い気がしたからだ。

特に、A BESTに収録されているものの、以降に発売されたベスト収録曲から漏れてしまった

「A Song for ××」
「Trauma」
「End roll」
「Who...」

なんかは、正直物足りない音だと思っていた。

全体的に音がこもっている感じがするし、ヴォーカルとバックミュージックのメリハリも小さいし、他の初期曲たちが次々とリマスタリングされていくなかでこの曲たちだけ本当にかわいそうだなと。


そんなこんなで、今回の「A BEST -15th Anniversary edition-」の発売。


収録曲は同じだし、ただリマスタリングされるだけだし、(といっても、ほぼ近年にリマスタリングされている曲も多いし)
と期待はしていなかったが、「コレクターとしては買わなければならない!」というその一心で購入を決意。


曲を聴きたいというよりかは、“15周年記念盤を手元に保存しておきたい”という意思で購入したのである。


「どれどれ一応聴いてみるか」

という心積りで聴いたのが最後。


「え、、音質めっちゃいいじゃん…」

というのが第一印象であった。


特にTraumaは新旧で聴き比べると分かるが、イントロから明らかに音が違う。

15年の時を経てリマスタリングされたTraumaは、より躍動感が溢れる曲へと変貌を遂げていた。


そして、改めてA BESTをじっくりと聴くことになった筆者。


A BESTを中古で購入してから約12年、そこで初めてA BESTの真価を知ることになったのである。



A BESTとは、

【その当時を生き抜いた人たちの共通言語】

であるということを。



「浜崎あゆみの曲で何が好き?」

「浜崎あゆみの代表曲と言えば?」

などと周囲の人に聞くと、大半の人は次の曲を挙げる。

「M」
「SEASONS」
「Boys & Girls」
「appears」
「SURREAL」
「TO BE」
「A Song for ××」
「Who...」

驚くことに、大半がA BEST収録曲なのである。


タイトルは分からずとも、

「マリア~」
「今日がとても~」

といったように、自分自身の身体に染みついているフレーズを発する人も多い。


ここで何が言いたいかというと、A BESTに収録されている曲たちは、西暦2000年前後を生き抜いた人々の身体に染みつき、心に残っているということだ。


彼女が望まない形で発売されたベストだったが、彼女が世間に残した爪痕はすごいものだったということを、15年たった今改めて感じることができた。


改めて最初から最後までA BESTを通して聴いてみたが、ビックリするほど無駄が見当たらない。

どの曲も1曲ずつ色があり、重みがあり、浜崎あゆみらしい。

A BESTの曲を通して、浜崎あゆみはその時代を生きた人と共鳴し、共に思い出を作ってきた。



そして、15年たった今、改めて分かること。



それは、

「ayuが思い出させてくれる自分がいる―。」

ということ。



A BESTが、ayuが、
時を超えて繋いでくれる、
あなたの思い出はどんなものですか?