出生からして、秘められた部分を持つ彼と出会ってから、
私は普通に会社勤めをしている男性には全く興味を示さなくなり、
他の男性とは結婚したいとは思わなかった。
私は、彼と結婚したくてたまらなかったが、
彼はその頃、とてつもなく大きな任務に携わる事になっていたのだ。
会う度に、
「俺の子供は、生まれた瞬間から帝王学を身に付けさせないとならない。」とか、
「ラスベガスの超高級ホテルを、俺が買い取ってやる。」だとか・・・
今迄の彼とは、全く異なる、豪快で極端過ぎる話しをする様になっていった。
私が彼の事を慕っていることは、彼自身、充分分かっていたと思うが、段々と彼は、私と距離を置く様になっていった。
そして、「俺は特別に選ばれた。もう洋子とは会えない・・・。」と言われた。
後で知ったが、彼は、世界的財閥に通じる女性と、政略結婚のごとく、結婚したのであった。
元々の彼の生まれがそうさせたのか、私には知る由もなかった。
こうして、もはや、彼は、一庶民の私には、とても手の届かない世界へ行ってしまった。