● 昔の教育熱心は、今は教育虐待です
こんにちは、小松です。
あなたは、お子さんが望まない習い事や塾に通わせていませんか?
子どものために!という、親御さんの愛も理解できます。
でも、子供時代にやっておかなくてはいけないのは、同年代の子どもたちとの遊びです。
体で体験をすることで、してもいいことやいけないことの加減を覚えます。
それを本人の許可なく、遊びを取り上げて(ダンスが好きで一日中踊っているとかは、別です)は、いけません。
一時的に学力や能力が身についたとしても、大きな負債を抱える危険があります。
Yくんの事例−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Yくんは、小学5年生の男の子です。
Yくんは、高学歴な両親の元、教育熱心に育てられていました。
英語にパソコン教室、塾にピアノ。
その甲斐あって、Yくんはとても高い学力がありました。
でも、Yくんには困ったところがありました。
「あいつは、バカだ!デリート!!」
パソコン用語の消去ボタンのデリートを覚えてから、こんなことばかり言うようになりました。
何を言ってもやめることはありません。
おそらく、ご両親がそれに近いことを言っているのでしょう。
見えにくいですが、これも立派な虐待です。
人を傷つける言葉を日常的に聞かせることは、それが子どもに向けられていなくとも、子どもは恐怖を覚えます。
それでなくとも、したくない習い事の毎日です。
さらに、Yくんは、行く大学まで親に決められています。
これでは、小学生には荷が重すぎて、心は荒んでいきます。
Yくんは、6年生のときに図書委員になってくれました。
活動は真面目にしていましたが、Yくんはいつも無理をしているように見えました。
口を開けば人をなじるようなことをいいます。
でも、表情は固く苦しそうなのです。
私は、Yくんが「デリート」というたびに、それは言ってはいけないことだとを伝え続けました。
そんなある日、私の足の上に、分厚い尖った板が落ちました。
Yくんが手を滑らせたのです。
図書室の備品だったので、私の不注意でもあります。
私は痛みのあまり、とっさに、悲鳴をあげました。
胸の高さから、厚さ3㌢の板が落下したので、かなり痛かったです。
角も尖っていたので、刺さったような痛みもありました。
でも、Yくんが気にしてはいけないと思って、笑顔でとっさに「大丈夫!」と言いました。
Yくんは、それでもオロオロしながら謝ってくれました。
私の足は、幸い、大した怪我にはならず、打撲と切り傷で済みました。
ひとまず、担任の先生には、報告しましたが、大事にはしないで欲しいとお願いしました。
なぜなら、Yくんの様子に変化が見られたからです。
あれだけ、上から目線で引きつった笑いをしながら、「デリート」というYくんが、私を心からの気遣ってくれたのです。
それが、嬉しかったからです。
今回は、カウンセリングというよりは、偶発的な事故が元となり、Yくんの心に変化がありました。
担任の先生に連れられて、改めて、謝罪にも来てくれました。
それ以来、ほんの少しだけ、Yくんはしおらしくなりました。
ひどい言葉も、言わなくなりました。
私も転勤があり、Yくんも卒業してしまったので、その後のYくんが、エリート街道を歩いたのかどうかはわかりません。
悲しいことに、私は、元エリートの凶悪犯罪をニュースで見ると、ドキッとします。
名前を確認して、知っている名前でないことに、胸をなでおろすこともあります。
子どものためとはいえ、子どもの将来を勝手に決めていくことは、子どもの人権を著しく侵害しています。
教育熱心すぎて、子どもの心を無視したり、学歴偏重の考え方を植え付けたり、子どもの許容範囲を超えた教育虐待は、子どもの心を歪ませます。
子どもには、大人が考える安全な道ではなく、自分で決めて責任を取れる人生を送ってもらいたいものです。
長い目で見ると、その方が、学力も伸びます。
子どもは、ひとりの人間であることを、忘れないでください。
取り返しが付かない自体は、すでに起きています。
同じ親としてのお願いです。
以上です。
本日も、ありがとうございました。