今回ご紹介するのは、今野陽悦さんの著書 『学校に行けない子どもの気持ちがわかる本』です。

 

著者は学生時代に不登校の経験を持ち、その後は不登校カウンセラーとして多くの親子を支援されてきた方です。実体験に裏打ちされた言葉は力強く、同時に安心感を与えてくれます。

本書では、不登校の解決を「お子さんが生きる力を取り戻し、社会で自分らしく生きていくこと」と定義しています。復学だけにゴールを置かない視点に、私も深く共感しました。

そのうえで、本書を読んで特に心に残ったのは次の3つのメッセージです。

 


① 親御さん自身が、自分のありのままを受け容れる(自己受容)

本書で最初に強調されているのは、「親であるあなたは決して悪くありません」というメッセージです。

「子育てを間違えたのでは」「もっとあのときこうしていれば」と自分を責める親御さんはとても多いですが、著者は「今どんな状態でも、親も子も悪くない」と繰り返し伝えています。

 

本書の第1章では、親自身が心のモヤモヤを整理するための7つの質問や、ありのままを受け容れるための3つのワークが紹介されています。

 

頭では「自分を責めても仕方ない」と分かっていても、感情はなかなか切り替えられないものです。本書は、具体的な問いやワークを通じて、自分を責める気持ちを和らげられる構成になっています。

 

私自身も、親御さんが「私は私で、ありのままでいいんだ」と開き直ることで、お子さんへの言葉が柔らかくなり、親子関係が少しずつ改善する姿を見てきました。

 

自己受容は、お子さんを受け容れるための土台であり、ご家庭全体が前に進むための最初の一歩なのです。

 


② 子どものありのままを受け容れる(他者受容)

自己受容の次に大切なのが、お子さんのありのままを受け止めることです。

「早く学校に戻ってほしい」「他の子のように元気に過ごしてほしい」という親の願いは自然なものですが、「期待に応えられない自分はダメなんだ」と子どもの自己肯定感を下げてしまうことにもつながります。

 

著者は第2章で、子どものケアをするうえでの7つのポイントを提示しています。

たとえば、子どもの話を遮らず聞く、無理に責任を負わせない、といった内容です。

 

また、第3章では、子どもを「集団タイプ」か「個人タイプ」かで捉え、それによって不登校の背景や対応が変わってくると分析しています。

 

特に、親と子のタイプが違う場合、親が自分の価値観を押し付けてしまい、親子関係が悪化することがあると指摘しています。

 

この「タイプ分け」は、教育現場での感覚とも合致します。集団やルールに縛られて動けなくなる子もいれば、自分なりにやりたいことがあるのに、学校の勉強に縛られて動けなくなる子もいます。

 

親御さんが「この子はこういうタイプなんだ」と受け止められるだけで、過度な焦りが減り、接し方がシンプルになるように思います。

 


③ 子どもから精神的に自立する

最後に重要なのは、親が子どもから精神的に自立することです。

「子どもが困らないようにと思って、先回りしてしまう」「つい口を出しすぎてしまう」――これらは親御さんによく見られる関わり方ですが、子どもの成長を妨げてしまう場合が多いです。

 

著者は第4章で、不登校解決までのステップを整理しています。特に親に向けては、「感情と課題を分ける」「境界線を引く」「子どもの自己肯定感を高める会話を心がける」といったポイントが挙げられています。

「自分は自分、子どもは子ども」と線を引くことは勇気がいりますが、そこで初めて子どもは「自分で考え、選び、動く」チャンスを得られるのです。

 

私も授業の中で、答えをすぐに教えるのではなく「もう少し考えてみよう」と待つことを心がけています。時間はかかっても、自分で答えにたどり着けた瞬間の達成感は、子どもの自己肯定感を大きく育てるからです。

 

ご家庭でも、親御さんが見守る姿勢を持つことで、子どもは「自分にもできる」という感覚を掴んでいくのだと思います。

 


まとめ

  • 親自身が自分を受け容れること(自己受容)

  • 子どもをありのまま認めること(他者受容)

  • 親が精神的に自立すること

これらはどれも完璧にできる必要はなく、少しずつ実践していけば、親子関係も確実に良くなっていくと思います。悩みや迷いを抱えている親御さんに、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。