シリア対日本 アジアカップ | 日本で活動中のサッカー監督のブログ

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バルセロナで修行してきましたが、2017年より日本で活動しております。

インターネット放送で前半だけ見ました。
後半以降は監督学校の試験だったのですべて
見れませんでしたが、youtubeでGK退場→失点シーンは
チェックしました。

中盤から前の選手が一生懸命プレスをしていて
いいチャンスをつくれていたのですが
ときどきサイドのスペースを有効利用せず、中央に難しい
パスを一生懸命通して失敗する場面が何度か見ました。
練習する時間が少ないので仕方がないといったら
仕方がないのですが、まだチームとして発展途上ですね。

特にDFラインからMFラインに関しての攻撃について
無駄にセンターバックから味方FWへのロングパスが多く、
もう少し相手を引きつけるためにピッチを広く使って
丁寧につなげたい感じでした。
監督は名指しこそしませんでしたが、ゴールしてもおかしくない
チャンスを前田選手が何度か枠外に外して、前半でゲームを
決めきれなかったのもゲームを混迷させた原因ですね。
僕だったら後半から前田選手を交替させていましたが
監督は前田選手に経験を積んで国際試合に適応して欲しいために
なかなか交替させなかったのかもしれませんね。
川島選手の退場シーンでは主審の死角のためにオフサイドの
見逃しがあったこと、長谷部選手のバックパスが弱かったこと、
長友選手が外にクリアするように指示しているにもかかわらず、
川島選手が中央にクリアミスをしてしまったこと、
いろいろミスが重なってはいますが
僕が戦術部分で一番気になるのは長谷部選手がボールをとった
瞬間に周りの選手がサイドに開くなどスペースへ動こうとしたり
スペースへパスを要求したりるする選手が皆無で、
完全に集中力がきれていたことです。
シリアは先制されて自陣で引きこもれなくなったので
単純に積極策をとっただけかもしれませんが
もし日本のDFの攻撃面での連携が悪いと分析して
前線の人数を増やしていたとしたら
シリアの監督はなかなかの策士ですね。

正直あの失点シーンだけを取り出して90分、
選手に対して集中力をきらさず走れというのは簡単ですが、
課題の本質はそういう枝葉ではなくもっと構造的な部分にあるのではと。
というのもチーム全体の試合の運び方にそもそも問題があると。
両サイドバックが30メートルとか40メートルを全力で何度も
上下動して献身的にオーバーラップするのは良いのですが
そのオーバーラップに消耗して、10とか15メートルを少し
動いてくれればパスコースをつくれる場面で、何もせず
チームが確実にボールをつなげられないとか
こちらが幸運にも先制して、相手のドン引きディフェンスが
なくなって、やっと日本にとって楽な展開になるはずなのに
チーム全体が前がかりになりすぎて、
相手の前線や中盤を自陣深くおびき寄せて
いわゆるバイタルエリアにスペースをつくれず
結局、力押しの縦ポンサッカーになってしまったり
そういう相手との駆け引きができていないなと。

ただ守備に関してはヨルダン戦よりも確実に改善はされていて
ザックであれば僕がいう課題なんか既に百も承知だと思うので
これから徐々に改善していくのだろうとは思いますが。
次のサウジ戦が楽しみですね。