インドのアルナーチャラの聖者と言えば、ラマナ・マハルシが有名です。

 

しかし、マハルシ以前ではSaint Arunagirinatharが最も有名であったと言われています。

 

アルナギリナタールと読むのでしょうか。

 

15世紀にティルヴァンナマライ(南インド)で生まれ、人生のほとんどをそこで過ごしました。彼の母親はMuthammaという名の売春婦でした。父親は、生まれてからすぐに亡くなったため、母親と姉のAdhiによって育てられました。

二人は、Arunagiriに宗教的な伝統や文化について教えました。彼も優秀だったため経典の勉強を行うほどになりましたが次第に興味が違うことに移っていきます。

 

彼は大人になっていくにつれてほとんどの時間を売春宿で過ごす様になります。売春婦と一緒にいることが彼にとっては一番よかった様です。母親が亡くなり、色々なものを受け継ぎましたが、それもほとんどは売春宿に行くためのお金にかえられるほどでした。

 

Arunagiriの姉Adhiは弟をとても愛していました。その愛情を逆手にとってArunagiriは彼女の宝石や持ち物を手放すよう説得します。これも、自分の売春宿に行きたいという欲を満たすためでした。

 

この様な生活を何年も続けます。しかし、年をとるにつれて彼は病気(ハンセン病という説)になってしまい、ほとんどの売春婦が彼を避ける様になりました。

 

彼にとって大きな転機が訪れます。何と姉の財産を全て使い果たしてしまったのです。そうとは知らずArunagiriはいつもの様に姉にお金を要求します。姉の持ち物はその時きている衣服だけでした。姉は何も残っていないと伝えました。

 

しかし、彼女は弟を愛していました。そして、彼をサポートしたいと思っていました。そこで、彼女は自分の体を差し出します。

 

『あなたの性的な欲求が満たされないなら、どうか私の体を使って満たしてください。私だって女ですから』と。

 

この言葉を聞いた時Arunagiriは大変なショックを受け自分を恥じます。

そして、今までのことを振り返り、自分は神様に大して大変な罪を犯していたと結論づけます。

 

あまりにも自分が恥ずかしいため、生きているのが辛くなりArunachaleswarar寺院の楼門から飛び降り自殺することにしました。

 

塔を登り、そしていまにも飛び降りるというときに何とムルガン神が彼の前に現れます(Arunagiriが飛び降り地面に当たる直前にムルガン神によって救われたという話もあります)。

 

ムルガン神。シヴァ神の次男。スカンダが別名。軍神。日本名、韋駄天、鳩摩羅天。

 

ムルガン神は、彼を抱擁しました。そして、いつも持ち歩いている槍の様なもので、あるマントラをArunagiriの舌の上に書き、ジャパマラ(数珠みたいなの)を渡し、自身を讃える詩を歌う様命令しました。

 

Arunagiriはタミル語の韻律を知らなかったため躊躇しましたが、ムルガン神によって最初の数行が伝えられた時、自然と口から残りの詩が出てくることに気づきました。

 

ムルガン神の姿は消えました。彼の病気は癒え、熱烈なバクタ(宗教的な献身を歌う)に完全に変容してしまいました。

 

その後、彼は詩を作りづづけインド中を旅しました。16,000の詩を作ったとも言われています。

 

 

アルナーチャラの大聖者の一人で、今でもそのエネルギーは残っているとのことです。