お立ち寄り頂きありがとうございます。
夫とふたり暮らしをしている
まる子と申します。
良かったらお茶でも
飲んでいってください。
お子さんがいらっしゃる方も大歓迎です
楽しいことをするのに
子どもいる、いないは
関係ないですからね
横になりながらテレビを見ていたら
突然インターホンが鳴った。
モニターを確認すると
見知らぬ男女が立っていた。
嫌な予感がする。
嫌な予感しかしない。
実は数週間前に
隣の部屋に新しく引越してくる方が
ご挨拶に来てくださったのだが
あろうことか眠気を優先して
無視するという大失態をおかしていた。
まさか再びご挨拶に
来てくださったのだろうか。
慌ててインターホンに出ると
上の階の人だった。
上は分譲賃貸だったので
完全にノーマークだったのだが空き部屋だったようで
来週お引越ししてくるという。
だからご挨拶に来てくださったのだ。
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
その時の私は
かろうじて歯だけを磨いている状態で
人前に立てるような出で立ちではなかった。
洗面所にダッシュでかけこみ
顔をバシャバシャ洗い
テロテロのパジャマを脱ぎ捨て近くにあった服に急いで袖を通した。
気分はミッションインポッシブルのトム・クルーズである。
そんないいものではない。
そして息を整えながら玄関の外へ。
そこには温厚そうなご夫婦が立っていた。
簡単な自己紹介をして
どうぞよろしくお願いしますと
100回くらい頭を下げ
逃げるように部屋へ戻った。
ねえ、大丈夫だったかな?
この格好大丈夫だったかな?
失礼があっちゃいけないと思って
Tシャツをパンツインしたんだけど
インしすぎて学校の部活かよって
思われていないかな?
Tシャツの裾
折ったり折らなかったりしているの
なんでかな?
襟を正して
引越挨拶を
もう一度やり直したいです。