最後に夫の顔を見たのは

いつだろうか。

 



もちろん夫とは

相も変わらず

ひとつ屋根の下で暮らしているし

同じ釜の飯を食っている。

 



おかえりも

おやすみなさいも交わすし

一緒にテレビだって観ている。

 



だけどその時

彼がどんな表情をしていたのか

どんな視線を送っていたのか

 



全くもって思い出せないのだ。

 



2月は私にとって

思い煩うことが多く

自分の足元ばかり見ていたように思う。

 



もともと

ネガティブでも

ポジティブでもない私は

 



悩みや心配事があっても

その中に入りこみ過ぎないよう

細心の注意を払うのだけれど

 



と,いうか,なんだったら

その悩み事をおもしろおかしく誰かに話して

笑いを取ろうとさえしているのだけれど

 



さすがに

今回家族に起こった

生きるとか死ぬとかの問題は

そうそう笑いに変えることはできなかった。

 



いや,しなくていいか。

 



しなくていいのだけれど

笑うことで救われてきた私は

今回のことも口角炎が悪化するくらい

大口を開けて笑い飛ばしたかった。

 



でも

私の想いとは裏腹に

あれよあれよと悲しみの渦にのまれ

 



が付いたら

靴下も満足に履かず

1日中床に横たわっていることが多くなった。(ぐで)

 



それでおとなしくしていればいいが

寒いから湯たんぽをくれとせがむ私に

夫はせっせと熱々をつくってくれた。

(靴下,はけよ)(うん,そうする)

 



週3カレーを出しても

何も言わないでいてくれた。

(鶏)(豚)(ひき肉)(一応使い分け)




普段なら頑なに踊らないダンスも

私が聴く「人生いろいろ」に合わせて

陽気に踊ってくれた。

(島倉千代子)(選曲しぶすぎ)

 



今回私に覆いかぶさってきた問題は

(というか家族の問題は)

にくたらしいほど強力で

まだまだ解決しそうにないのだけれど

 



苦手な冬も終わったことだし

足元ばかり見るのも飽きたし

私ひとりではどうにもできないし

(はよ気付け)

ひとまず思い煩うことは

おやすみしたいと思う。




今夜あたり

夫が帰ってきたら

 



自分で靴下を履けるようになったから

もう湯たんぽはつくらなくていいと

告げようと思う。

 



そして
密かに練習していた
「人生いろいろ」を聴いてもらうとしよう。



喜ぶかな??



いや、近所迷惑になる!
とすぐに私の口をふさぎにくるだろう。



ぶへへへ。




顔を上げたら

春はそこまできていた。