聖者の行進
1998年1〜3月放送


ずっと気にはなっていたけど
内容が内容なだけに、
絶対気が滅入りそうだと
見るのに躊躇していたドラマ。
脚本は野島伸司だし…。
でも酒井法子、松本恵、安藤政信と
私の好きな俳優さんたちが出ているし
やっぱり見たいと思い、ようやく鑑賞。


暴力シーンの多さは辛かったけど
いかりや長介の台詞や
裁判のシーンはグッときたな…。
強くなることは鈍くなること、
すると他人を攻撃するようになるという
解釈のもと、人間は強くなる必要はなく
弱いものが手を取り合って
生きていく社会こそが素晴らしいという。
一理あるけど、そもそも強さって
そういうことなんだろうか。
本当に強い人は優しい人なんじゃないかって
思ったりもする。


あととにかく安藤政信がかっこよい。
この人は狂気的な役や
なんだか影のある雰囲気の役が
とてもよく似合う。
何気に青の時代の頃から大好き。
でも出演作があまりなくて観る機会が少なかった。
しかし近年は結婚して子供が生まれてから
彼らを養うためにもハイペースで働いている模様。


主題歌がこれまた私の大好きな
中島みゆきの曲なんよ。
命の別名と、糸。
今は糸のほうが有名になって
糸を原案にした映画まであるけど
元々は命の別名のB面だったのよ。
そして多分、恋愛や結婚の曲ではないと
私は思う。
もちろん解釈は人それぞれだけど。


命の別名は、このドラマの基となった
実際に起こった水戸事件をベースに
作られた曲らしい。
歌詞からもそのことが感じられる。
どんな命にも、心があるんだと。


こんなドラマみたいな酷いことが
実際にたくさん起きている。
工場の実情を知り、まるで悪夢を
見ているようだと嘆くももに対して、
これが紛れもない現実だと宇野は言う。


水戸事件の他にも、三丁目食堂事件など
こういったことは多数起きていて、
でもみんな辛いことから目を背けたくて
見なかったことにするよね。
巷ではスルー力が推奨されていたり。
でも、スルーすることと
臭いものに蓋をすることは全然違う。
おかしいと感じたら、目を瞑るのではなく
いちいち騒ぎ立てよう。
じゃなきゃ何も変わらないんだ世界は。


ドラマの最終話で、竹上がなぜ
彼らを虐待するようになったか
理由を述べていたけど、
理解はできてもじゃあ仕方ないね、
なんて絶対思えないし
思っちゃいけない。
こういう事件を知るたびに
加害者側の心理というのは
とても気になるところではあるが。


だって思うの。
人を傷つけて心の底から喜びを
得ることなんかできないよね?
一瞬の快楽を感じる人種がいたとして、
でもそれは結果的に自分を苦しめることに
なるのでは?
そんな自分を心底愛せるか???
私は無理だと思うのよ。