私が和太鼓の師匠と仰いでいるのは、長野を拠点とする歌舞劇団田楽座。
全国各地の唄や踊りや太鼓などを地元の方々に直接教わって舞台に上げている彼らの、和太鼓業界における同業他社との明確な違いは、太鼓を打つ際「確かな重心操作」を常に活用していることです。
全国的に広く普及してしまっている和太鼓の流儀は、アキレス腱のばしのストレッチのような低い体勢でどっしり構え、背筋を伸ばした姿勢で両腕をピンと突き上げ、真っ直ぐバチを降り下ろすというもの。
このとき往々にして重視されがちなのが、低く構えた姿勢やバチをピンと突き上げた姿勢などが他のプレイヤーとも綺麗に揃っていること。
この様式美を追求するためなのか、太鼓を打つ際に「できるだけ胴体が動かないように」という指導を徹底させる流儀も少なくありません。
また、たて乗りに体を上下させながら軽快に打つようなシーンを取り入れるチームもありますが、それも「楽しそうな雰囲気を演出するのに丁度いいだろう」という追加オプション的な位置付けであり、平常時は重心操作を全く使用せずにガチガチの固定姿勢で打っていることが多いです。
さらに、一発一発高々とバチを掲げて打ち込むときに、大きく背伸びをして真っ直ぐ腰を落とす重心操作を活用するチームもありますが、これも特別に意識したときだけ使えるとっておきでしかなく、意識せずとも常に活用できるという次元には行き着いてないことがほとんどです。
その点、田楽座は踊りでも太鼓でも何時なんどきでも「確かな重心操作」を常に活用することを心掛けており、無意識レベルでも常に活用できています。
これは、全国各地の踊りや太鼓の担い手の中に「確かな重心操作」を活用している人が多いから。