実家から荷物が届きました。実家は農家ではないのですが、畑をもっていてそこで、ささやかに野菜を作っています。収穫されるとたまに送ってくれます。特に話をしないし、、、というか実家への連絡自体がまめではないのですが、きまって私が少し弱っている時にサラッと母から「荷物送ったよ」と連絡があり荷物が届きます。母親とはこういうものか、、、と驚かされることがあります。

さて、私はとても田舎で生まれ育ったのですが、子供の頃は山や川を駆け回り、常に土まみれ泥まみれでした。手足の傷も絶えませんでした。そして子供の頃からその畑の野菜を食べていました。

なので、今でもその畑の野菜を食べると、その畑の土の匂いや味を感じます。素人の作った野菜なので見ためや味も一般的にはそれほどではないと思いますし、薬がつかわれないためか すぐ傷みます。それでも、その土の味のする野菜は私にとっては、とても美味しいです。元気がでます。きっと細胞レベルで体が記憶しているんだなあと思います。

ということで、ありがとう。。。


ありがたいです、はい、とても。でも、傷む前に食べきるのは、ちょっと大変でもあるのです。


いつか
人間にとって土や大地とはどういったものでしょう?

塩爺
叙情的にのべるならば、「母なる大地、、、」と思うかもしれぬの。たしかに今の人間にとっては、根をはる苗床に違いない。根を張り、養分を吸い上げ、自らの足をつけ立ち、それは個々の存在のリアルを直感的に知らしめてくれるものじゃ。

いつか
今の人間、、

塩爺
そうじゃの、人類という種としては好き嫌いはどうであれ、この大地を離れる方向で進んでおるのはわかるだろう。その前に人間は土の匂いを手放した。しかし、今は人間にとって土、大地は必要なものじゃ。それは、ただ食物を生産するということではなく、精神的な話でじゃ。他にも体内環境を作る上での細菌との関係もある。

今の人間にとって、土や大地は、あって当たり前のもの。日常の大前提であるのじゃ。ある日突然、足元の大地がごっそりと消え去るということは事実ない。

いつか
ふと、思い出したのが高層マンションの高層階で育った子供にはなんらかの影響が多少なりでるという報告。。まあ、大地からの距離という問題だけでなく、建物の揺れやいろいろ関係しているかもしれないけど。

塩爺
それに関しては、原因は複合的であるがの、それでも今生まれる子供でも大地や土は重要であるということじゃ。

しかし、それが揺らいでおるのが今じゃ。地震といった文字どうりの現象もあるが、それだけではない。放射線汚染により住みなれた土地を離れなければならなくなったということ、放射線の脅威そのものよりも、当たり前の日常、大地をある日突然失うということの衝撃が大きいのじゃ。

それは、当事者であろうがなかろうが、自己のアイデンティティ、価値観に関わる。そういった揺らぎに引き続き直面しておるのがまさに今じゃの。

いつか
人類が大地を離れ、無重力の宇宙に飛び立ったときはどうなるの?

塩爺
バベルの塔の崩壊は天罰ではない。アイデンティティの崩壊による自爆じゃ。
であるから人類は重力から自由になる準備を進めておる。その準備が出来たとき、その精神も大地からも重力からも自由になるの。体の構成も変化する。

しかし、土の匂いの記憶は、遺伝子レベルの記憶を刺激し郷愁を誘うことがある。香りは時に光よりも精妙にして鮮烈なものじゃ。次元も超える。季節季節に次元の扉があくとき香りが放たれる。香りは記憶に焼き付く。

大地から離れ、土地の匂いを捨て、宇宙に出たとき、大地にたって生きることの意味、影響、大地を土を汚すこと、地球の生命力・循環蘇生、、、それらの真を知ることになるのじゃ。

大地も海もそうじゃが、美しいだけ優しいだけではないじゃろ?だからこそ豊かであり深遠なのじゃ。あらてめてその記憶に刻んでみることじゃの。


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最近では、あらゆる毒についての話題もよく聞きます。そういった知識を得ることはとても大事なことだと思います。

しかし、この大地や食べ物が毒に汚されている可能性があるにしても、この大地に立っていること、なんらかの恵みを受け取っていることに対し、そしてそこにあるだろう毒すら含めて受け入れ感謝することから始めないと、毒や他者に対して、ただヒステリーを起こした狭量な理解しかえられないだろうなあ、、、とよく思う今日この頃でもあります。

ちなみに、今は毒をもって毒を制しようとしている状態で、実は何が真実かはかなり不明瞭です。白であっても黒であっても極まれば力は同じ。そこもちゃんと見極めた上で情報を精査しないと体が健康になれないばかりか、心も病むかもしれません。。。一番の毒は集団意識による暴走という毒。。。白でも黒でも集団は毒を作り出す、、と私は思います。



こういうのも、面白がって一緒に送ってくれます笑。
「とうさん!コイツはからいです!」笑


『 nowisee「ハードボイルド」』
土の匂いから離れた人間たちの憂鬱があるようです。



ハードボイルドと聞いて私が思い出すのは、村上春樹さんの小説「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」です。村上さんの作品で一番好きです。改めて読みなおそうかと最近思っています。

地底世界、パラレルワールド、世界の終わり、計算士によるシステムと記号士によるファクトリーの対立、地上人を襲うやみくろ、心をもたない者がすむ壁に囲まれた街、心をもつものができる夢読み、、、いろいろと今この世界を感じ取るときに通じるものがあります。

村上さん自身は好きですが、「海辺のカフカ」以降、村上さんの作品に何となく手が伸びません。もしかしたら村上さんの描く世界と現実の世界に差異がなくなって来ているのかもしれないと感じています。ちょっと不思議な世界観の小説が多いので、余計にそう感じるのだと思います。

「ねじまき鳥クロニクル」から「アンダーグランド」あたりで、現実世界での日常や大地や価値観がひっくり返ったのだと思います。そのあたりから小説と現実の世界に差異がなくなり始めていたのだと個人的には感じます。あくまで私感ですが。


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PS:

今日もおつかれさまです。楽しめましたか?
どうやらお元気なようですね、よかったです。
雨ごとに気温が下がります。お体大事にしてください。

ステキな仲間の皆さんと充実した時間を心に焼き付けてくださいね。
あなたの大切な財産で宝物です。