こんな夢を見た。
とても高額なお弁当箱があった。1900円くらい。
その中身も高額。
1800円くらい。
それならランチを買った方が得なの?
そうでもない、100円くらいお弁当を持っていく方がお得。
(なぜだかそのような物価設定)
そんな小さな差額しかでないのに、毎朝、懸命にお弁当を作るお父さんがいた。
赤い光沢のあるエプロンに、首と後ろのリボンのところは白い綱のような紐でできている。
デザインが古いなぁ。
笑顔で「これはお得だね、いいお弁当箱だね」と言ってる。
「ありがたいね、これでお弁当ができるね」と嬉しそうにバカみたいに言ってる。
そして、太い背中を丸めながら、一生懸命にお弁当におかずを詰めている。
短くてごつごつした指で、丁寧に箸を動かしている。
お弁当の中身がそんなにすごいのかな、覗いてみたらそうでもない。
焼いた鮭にコロッケ、ブロッコリー2個にご飯が見え隠れしている。
野菜が極端に少ない。
損しているのか、得してるのかわからないのに、毎日毎日お弁当を作ってる。
腰を曲げながら。
飽きもせずに。
めちゃニコニコしてる。
おんなじお弁当を。
彼の娘のために。
娘もニコニコして、「ありがとう」と言っている。
毎日、飽きもせずに、お父さんのお弁当を、持って行ってる。
同じ表情で、バカみたいに、嬉しそうに持って行ってる。
気付くと、その風景が写真になってた。
少し年老いたお父さんと、立派に美しく成長した娘。
お弁当を作っていた頃と同じ笑顔で。
娘も娘で、嬉しそうに持って行ってたあの笑顔で。
でも、少し違ってた。
お父さんはあのエプロンじゃなくて、くすぶった茶色いスーツに、冴えない青色のネクタイ。
娘は髪をきれいに結って飾って袖の長い明るい色の着物を着ていた。
それだけじゃない、
お父さんの手には写真があった。
暗いトーンの抑え目の色で女性が写っていた。
きっとそれはお母さん。
そうか。。。だから、お父さんは毎日のように娘にお弁当を作っていたんだ。
お母さんが大切な娘のために作っていたあのお弁当を、お父さんもやってたんだ。
お母さんなら
どんなふうに娘を扱っていたんだろうか、その気持ちはどんなだったか。。。一生懸命考えて、お父さんの答えは 娘に作る「お弁当」だったんだ。
その気持ちを 娘は気付いていたんだ。
だから、娘はあれだけ嬉しそうに「ありがとう」と言い続けたんだ。
そんな家族が、世界で一番の父子に見えた。
本当の幸せはこういうことかもしれない。
穏やかで、普通で、平凡すぎて。。ハタからみたら、どうでもいいような、そんな家族。
でも、相手を思う気持ちは誰にも負けない。
比べるべきではないかもしれない。
だって、この父子は、
お互いのことだけしか、みてないもの。
比較するためによそをみないから、比べようがない。
スゴイな。
地位もあって、名誉も与えられて、歴史に名を残すくらいの偉業を成し遂げて、みんなから褒められ。。。そんな人生もいいと思う。
でも、私にとっては、そんなどうでもいい父子が、一番光ってみえた。
私の心が求めるのは、こんな幸せなんだって。
久しぶりに思い出した。
そうそう、これだったんだ、って。
いいものを見せてもらった。