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詩【 つゆ草と申しまする 】



ひっそりと目立たぬ花と
言いすてなさいますな


ありきたりの
何処ぞにもあるような花と
言いすてなさいますな


つゆ草と申せども
凛として朝露を受けて
生命の神秘さを奏でる
大地の上に咲く草花でありまする


いつも人は
あでやかさを誇る   お花畑に咲く
それらの花を眺めに
おいでになられるけれども


片隅にて目立たぬように
ひっそり凛として
草花であることに誇りを
持っておいでになられるような
そんな草花もありまする


要は   その場所で咲き誇る花が
誇りを持っていれば良き


人とて同じこと
片隅の目立たぬ場所にあろうとも
凛として誇りを持っていれば
それで良き


我は目立たぬ    つゆ草なれども
生命の水を飲み
その草花であろうことに
誇りはありまする


もしも
道端の片隅    草むらの片隅で
ひっそりと咲く    つゆ草の花を
見かけても
踏み潰したりはせぬように
お願いしたき


草花とて    青草とて
澄んだ息を放つ地上の宝箱


誰ぞが笑いながら
ちらりと眺めておいでになられる
かすかな微笑みが浮かべば
それでよきものぞ


我は目立たぬ場所に咲く
ありきたりの    つゆ草と申しまする


地上の片隅で
地上の宝箱となりし息を放つ
一輪の草花   つゆ草と申しまする