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詩【 薄墨桜 】



薄墨色の空に
薄紅色の桜花びら咲き誇り
止んだ雨の滴りが花雫を落として


薄墨色の空と薄紅色の桜が
全ての空色に染まってしまい
花色すらも淡いベールに
隠されているような薄墨桜


滴り落ちる花雫の雨が
無言のままで
薄墨色の空に染まっていく


それらの桜花びらが
どこまでが花であるのか
どこまでが薄墨色の空であるのか
分かれ目さえわからぬ


花雫が滴り落としたものか
桜の木の下で
水溜りは空を映すけれども


映された薄墨桜となりし
花色の区別すらも
幻想の向こう側にある


なんと幻想的な
桜の咲きほこる姿であるのか


薄墨色の空に
桜花びらが染まってしまい
空に抱きかかえていられるような
花雫の幻想さよ


無言で見つめる我の視線に
映りし薄墨桜の
微かな微笑みが浮かんだようで
そっと見つめる薄墨桜


美しき薄墨桜の花は咲きほこる