勢いを増す田中率いるECW勢。

田中の圧倒的な強さと勢いで、十分すぎるほどの説得力があった。

しかし この流れで割りを食ったのはオレだけじゃなかった。

田中もその一人。

この頃FMWのシリーズがない時はアメリカでECWに出場していた田中。

そのECWではみんなが日本で思っている以上に高く評価されていた。

完全にトップ選手だったと言っても過言ではないだろう。



本来海外でそれだけ評価されていたのだから、もう少しスケジュールや待遇などが考慮されても良かったと思う。

しかしFMW自体にそんな余裕がなかったのも事実。

田中の気持ちなど汲むこともなく

「今度の後楽園ホール(チケットが)売れてないから帰って来てください。」

という電話一本で帰国させられていた。

もちろん単純に冬木さんが田中の事がキライだったのも大きな理由の一つだったと思うが・・・(苦笑)



かくしてFMWに不満一杯のまま田中は凱旋帰国。

マイクアピールにいつも以上の凄みがあったのは当然の結果だった(笑)








状態が悪くなっていったのはオレの身体だけじゃない。

ディレクTVの日本からの撤退。

このニュースを目にした時の事は今ではっきり覚えている。



その日自宅に帰ったのは朝方だった。

飲んでいることは好きだが、オフの期間に接待で朝までというのは決して楽しいだけじゃない。

リビングに倒れこみながら、条件反射的にテレビを点けた。

画面ではめざにゅーの杉崎美香さんがニュースを読んでいる。

眠気と疲れで朦朧としている事もあって内容は まったく入ってこなかったが、ウトウトしかけたときそのニュースが聞こえてきた。

「ディレクTVの日本撤退が決定しました」

聞こえてはきたが、一度目は普通に聞きながしてしまった。

撤退のニュースの詳細が続く。

ボーッとしていた頭の中でさっきの言葉がリフレインする。

「ディレクTVの日本撤退が決定しました・・・ディレクTVの日本撤退が決定しました・・・」

何度目かの時、一気に目が覚めた。


「はあぁっ!?」

自分でも驚くほど大きな声だった。

少なくともオレは何も聞いていない。

「どういう事?」

テレビに向かって話しかける。

当然の事だが、オレの動揺など関係なく杉崎美香さんは淡々とニュースを読み終えた。



鼓動が早くなる。

どうやらディレクTVの日本撤退は決定事項のようだ。

だからといってすぐに受け入れられるわけもなく、立ちあがって文字通り右往左往している自分がいた。

ウロウロしながら考える。

「とにかく確認しよう」

ポケットから携帯を取り出し荒井さんの名前を出した。



呼び出し音が鳴っている間に深呼吸をして落ち着こうとするが効果は薄かった。

5回目のコール。

「もしもし・・・」

電話口から聞こえてきた荒井さんの声。

「ニュース見ました?」

オレは食い気味に聞いた。
どんなに頑張っても手が届かない
どんなに頑張っても答えが出ない

こんなに頑張っているのに

あきらめる時にいつも聞こえる
「最初から向いてなかったんだ」
「分不相応なんだ」
そうやって自分を蔑んでいる

どうせ自分なんか・・そうやって諦めてきた
自分にない事ばかりを探している





東日本大震災から7年が経過致しました。 

 

あらためて、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。 

 

また、被災された皆様にお見舞いを申し上げますとともに、 今なお不安な生活を余儀なくされている方々が一日も早く安心できる暮らしに戻れますよう、心よりお祈り申し上げます。 

 

 

隼計画