原田徳子はなぜ歌が上手いのか?(科学の時間(笑)
元CCガールズの原田徳子さんのソロデビューアルバム『HARADA NORIKO 1st』。
ボクの友達もみんな聴いてくれていて、とても評判がいいです。
毎日、オートリピートでCDをかけっぱなしにしてくれているパブもあるそうです。
一番人気は、なんと、あえてボクがブログ紹介から外した「逢いたい気持ち」。
自分のセンスのなさを感じます(笑)
いや、「逢いたい気持ち」もいい曲だし好きなんですが、「桜色」のほうが好きだったので。
でも、周りの評判を聞いて改めて聴くと、確かにカラオケで歌うなら断然「逢いたい気持ち」ですね。
で、以前ボクがブログで、「『カラオケプロ』と原田徳子の間には埋めようのない歴然たる差がある」と書いたのを友達が覚えていて
「確かに、原田さんって上手いよね。『カラオケが上手い』って人とは明らかに次元が違うよね。なんでだろう?」
と聞かれたので
「いや、それは素人とプロではやっぱり倍音のテクニックが違うもん」
と答えたら
「バイオン? なに、それ」と友達。
そこで、今日のテーマは倍音です。
芸術をあえて科学的な視点で見るので、興味のない方はここでストップしてください(笑)
また、ボクは専門家ではない事と、ブログで綿密に書くと時間がかかるので、説明を端折る事によって、結果的に微細な嘘も混じった解説となりますので、その点ご了承ください。
さて、音の正体は「波」であることは誰でも知っています。
この波は周波数として表され、たとえば楽器で音合わせをする時の「ラ」の音(ギターをやる方なら音叉をご存知ですね)なら440Hzです。
ところが、人間がある高さの音を歌った時には、その音の高さ(これを基音といいます)以外に、必ず倍音が含まれます。
2倍音が含まれれば、もし「ラ」の音を歌った時に、耳に聞こえるのは440Hzの「ラ」ですが、880Hzの波(要するに1オクターブ高い音)もその人の声に含まれているのです。
倍音は、このように3倍音(1オクターブ半高い音)、4倍音(2オクターブ高い音)とその先もあります。
では、音の正体は単なる周波数なのに、なぜボクたちの声は一人一人違うのでしょうか?
実は、ボクたちは倍音を聴いていないようで、実は聴いているのです。
なぜなら、この倍音の含まれ方が「音色」になるからです。
倍音は、言うなれば調味料のようなもので、一人ひとりが作る料理の味が違うように、倍音によって人間の声色も異なってきます。
結果、声紋と言って、指に指紋があるように、声も一人一人が異なる波形になるわけです。
同じように「ラ」の高さで歌っても、基音は440Hzでも、一緒に含まれる他の音(波の形)が一人ひとり違うわけです。
だから、ボクたちは倍音を聴いていないようで、実はボクたちは基音で音の高さ(メロディーライン)を認識して「この曲いいねー」と感じ、倍音で声色を聴いて「この声、いいねー」と言っているわけです。
ここまで書いても、まだどうにも信じられない、という方は、ピッコロとハーモニカの音色を思いだしてください。
ピッコロは、なんか物凄く単純な、混じり気のないピュアな音色ですよね。
あれは、ピッコロが「倍音が極端に弱い」楽器だからです。
その反対がハーモニカです。
ハーモニカは、もう倍音が強すぎて、その倍音が実際に聞こえてしまう楽器の代表例です。
ハーモニカで「ラ」の音を出した時に、明らかにほかの音が混ざっているような気がします。
でも、これは「気がする」のではなく、実際に混ざっているのです。
では、それそろ本題(結論?)に入りましょう。
原田徳子さんはなぜ歌が上手いのか?
それは、原田さんの声は倍音が強く、かつ、彼女がそれを自在に操れるからです。
『HARADA NORIKO 1st』の2曲目の「楽園ing」を聴いてみてください。
混ざり気のないとてもピュアな声が、まさしく南国の楽園を思わせます。
これは、楽器で例えるなら、原田さんはピッコロのような音色で歌っているからです。
あえて、倍音を弱くしているのです。
そして、3曲目の「Hold On Me」になると、野太い野性的な低音がガンガン響く声になります。
もう、とても同一人物とは思えません。
これは、倍音を強くしている結果です。
実際に、そう思って聴くと、この曲の時の原田さんの声は、重ね録りをしたような複雑な声に聞こえてくるはずです。
でも、それは錯覚ではありません。
実際に感じ取れてしまうほど、原田さんは倍音を強くして歌っているのですから、別の声が聞こえる人がいても不思議はないのです。
先に挙げた「カラオケプロ」の中で、この「倍音テクニック」を使える人はほとんどいないでしょう。
それが、ボクの言う「カラオケプロと原田徳子の差」なのです。
カラオケプロは、喉だけで歌を歌い分けようとします。
でも、説明が長くなったのでここは次回に譲りますが、倍音を作っているのは喉だけではありません。
いずれにせよ、一度、『HARADA NORIKO 1st』を聴いてみてください(*^_^*)
文系のボクが、なぜここまで熱く説明をしているかが、あなたの耳で実感できるはずです。
最後に蛇足ですが、あの天才Beatlesでさえ、初期の頃は倍音がうまく出せませんでした。
そこで、プロデューサーのジョージ・マーティンのアイデアで、2回歌ってその声を重ねる、という手法が用いられていました。
これは、John LennonもPaul McCartneyも同じです。
しかし、その後Johnはあんなに素晴らしい声なのに、なぜか「自分の声が嫌い」と言い始めて、7枚目のアルバム「Revolver」の頃から、あえて声にエフェクトをかけ始めます。
これは、言うなれば、機械的に自分の声の倍音を強めていたわけです。
一方のPaul McCartneyは、本人が意識してかせずにかはわかりませんが、どんどん倍音が強くなっていき、Beatlesが最後に収録した「Abbey Road」というアルバムになると、「Oh! Daring」という倍音きかせまくりの歌唱テクニックを披露するまでになります。
実際、ボクはPaul McCartneyはロックミュージシャンとしては歴史上最高レベルのシンガーだと思っています(作曲家として№1であることはもちろんですが)
1970年代半ばの頃のPaul McCartneyのライブを観ると、あり得ない事に倍音が聞こえます。
これが、Paulが天才たるゆえんだと思います。
そして、原田徳子は、Paul McCartneyに負けず劣らずの「倍音の持ち主」なのです。
ここまで書きましたので、次回は「倍音の作り方」の説明をします(*^_^*)
『HARADA NORIKO 1st』
CD → http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0044VNCC4/
MP3 → http://www.amazon.co.jp/Harada-Noriko-1st/dp/B004G0E83U/ref=dm_cd_album_lnk
ボクの友達もみんな聴いてくれていて、とても評判がいいです。
毎日、オートリピートでCDをかけっぱなしにしてくれているパブもあるそうです。
一番人気は、なんと、あえてボクがブログ紹介から外した「逢いたい気持ち」。
自分のセンスのなさを感じます(笑)
いや、「逢いたい気持ち」もいい曲だし好きなんですが、「桜色」のほうが好きだったので。
でも、周りの評判を聞いて改めて聴くと、確かにカラオケで歌うなら断然「逢いたい気持ち」ですね。
で、以前ボクがブログで、「『カラオケプロ』と原田徳子の間には埋めようのない歴然たる差がある」と書いたのを友達が覚えていて
「確かに、原田さんって上手いよね。『カラオケが上手い』って人とは明らかに次元が違うよね。なんでだろう?」
と聞かれたので
「いや、それは素人とプロではやっぱり倍音のテクニックが違うもん」
と答えたら
「バイオン? なに、それ」と友達。
そこで、今日のテーマは倍音です。
芸術をあえて科学的な視点で見るので、興味のない方はここでストップしてください(笑)
また、ボクは専門家ではない事と、ブログで綿密に書くと時間がかかるので、説明を端折る事によって、結果的に微細な嘘も混じった解説となりますので、その点ご了承ください。
さて、音の正体は「波」であることは誰でも知っています。
この波は周波数として表され、たとえば楽器で音合わせをする時の「ラ」の音(ギターをやる方なら音叉をご存知ですね)なら440Hzです。
ところが、人間がある高さの音を歌った時には、その音の高さ(これを基音といいます)以外に、必ず倍音が含まれます。
2倍音が含まれれば、もし「ラ」の音を歌った時に、耳に聞こえるのは440Hzの「ラ」ですが、880Hzの波(要するに1オクターブ高い音)もその人の声に含まれているのです。
倍音は、このように3倍音(1オクターブ半高い音)、4倍音(2オクターブ高い音)とその先もあります。
では、音の正体は単なる周波数なのに、なぜボクたちの声は一人一人違うのでしょうか?
実は、ボクたちは倍音を聴いていないようで、実は聴いているのです。
なぜなら、この倍音の含まれ方が「音色」になるからです。
倍音は、言うなれば調味料のようなもので、一人ひとりが作る料理の味が違うように、倍音によって人間の声色も異なってきます。
結果、声紋と言って、指に指紋があるように、声も一人一人が異なる波形になるわけです。
同じように「ラ」の高さで歌っても、基音は440Hzでも、一緒に含まれる他の音(波の形)が一人ひとり違うわけです。
だから、ボクたちは倍音を聴いていないようで、実はボクたちは基音で音の高さ(メロディーライン)を認識して「この曲いいねー」と感じ、倍音で声色を聴いて「この声、いいねー」と言っているわけです。
ここまで書いても、まだどうにも信じられない、という方は、ピッコロとハーモニカの音色を思いだしてください。
ピッコロは、なんか物凄く単純な、混じり気のないピュアな音色ですよね。
あれは、ピッコロが「倍音が極端に弱い」楽器だからです。
その反対がハーモニカです。
ハーモニカは、もう倍音が強すぎて、その倍音が実際に聞こえてしまう楽器の代表例です。
ハーモニカで「ラ」の音を出した時に、明らかにほかの音が混ざっているような気がします。
でも、これは「気がする」のではなく、実際に混ざっているのです。
では、それそろ本題(結論?)に入りましょう。
原田徳子さんはなぜ歌が上手いのか?
それは、原田さんの声は倍音が強く、かつ、彼女がそれを自在に操れるからです。
『HARADA NORIKO 1st』の2曲目の「楽園ing」を聴いてみてください。
混ざり気のないとてもピュアな声が、まさしく南国の楽園を思わせます。
これは、楽器で例えるなら、原田さんはピッコロのような音色で歌っているからです。
あえて、倍音を弱くしているのです。
そして、3曲目の「Hold On Me」になると、野太い野性的な低音がガンガン響く声になります。
もう、とても同一人物とは思えません。
これは、倍音を強くしている結果です。
実際に、そう思って聴くと、この曲の時の原田さんの声は、重ね録りをしたような複雑な声に聞こえてくるはずです。
でも、それは錯覚ではありません。
実際に感じ取れてしまうほど、原田さんは倍音を強くして歌っているのですから、別の声が聞こえる人がいても不思議はないのです。
先に挙げた「カラオケプロ」の中で、この「倍音テクニック」を使える人はほとんどいないでしょう。
それが、ボクの言う「カラオケプロと原田徳子の差」なのです。
カラオケプロは、喉だけで歌を歌い分けようとします。
でも、説明が長くなったのでここは次回に譲りますが、倍音を作っているのは喉だけではありません。
いずれにせよ、一度、『HARADA NORIKO 1st』を聴いてみてください(*^_^*)
文系のボクが、なぜここまで熱く説明をしているかが、あなたの耳で実感できるはずです。
最後に蛇足ですが、あの天才Beatlesでさえ、初期の頃は倍音がうまく出せませんでした。
そこで、プロデューサーのジョージ・マーティンのアイデアで、2回歌ってその声を重ねる、という手法が用いられていました。
これは、John LennonもPaul McCartneyも同じです。
しかし、その後Johnはあんなに素晴らしい声なのに、なぜか「自分の声が嫌い」と言い始めて、7枚目のアルバム「Revolver」の頃から、あえて声にエフェクトをかけ始めます。
これは、言うなれば、機械的に自分の声の倍音を強めていたわけです。
一方のPaul McCartneyは、本人が意識してかせずにかはわかりませんが、どんどん倍音が強くなっていき、Beatlesが最後に収録した「Abbey Road」というアルバムになると、「Oh! Daring」という倍音きかせまくりの歌唱テクニックを披露するまでになります。
実際、ボクはPaul McCartneyはロックミュージシャンとしては歴史上最高レベルのシンガーだと思っています(作曲家として№1であることはもちろんですが)
1970年代半ばの頃のPaul McCartneyのライブを観ると、あり得ない事に倍音が聞こえます。
これが、Paulが天才たるゆえんだと思います。
そして、原田徳子は、Paul McCartneyに負けず劣らずの「倍音の持ち主」なのです。
ここまで書きましたので、次回は「倍音の作り方」の説明をします(*^_^*)
『HARADA NORIKO 1st』
CD → http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0044VNCC4/
MP3 → http://www.amazon.co.jp/Harada-Noriko-1st/dp/B004G0E83U/ref=dm_cd_album_lnk