悲しみのタイランド | 大村あつしオフィシャルブログ「ボクは不死鳥」Powered by Ameba

悲しみのタイランド

ご存じのとおり、バンコクでのデモが激化しています。

ボクは、5月19日から1週間、バンコクに行く予定だったのですが、一昨日の夜、断念しました。

2回目の断念です。

このデモは長期化が予想されますので、無期限の延期ですね・・・。

まず、なぜボクがバンコクに行こうと思っていたのかを話します。

理由は「旅行」ではありません。

【理由1】

作家に転向して3年。

一つわかったのは、それ相応に刺激的な状況に自分の身を置いておかないと、アイデアが枯渇してしまうという事です。

たとえば、東京やニューヨークなら、同じ場所にとどまっていても、刺激には事欠かないので問題はありませんが、やはり、地方に住んで、家に閉じこもって執筆ばかりしていても、天からアイデアが降って来てはくれません。

かと言って、ボクの収入では、東京やNYには住めません。

そこで思い立ったのが、バンコクとの二重生活です。

静岡とバンコクを自由気ままに往復して、その刺激の中で小説のアイデアに触れ、そして執筆に集中する期間は静岡の自宅で執筆する。

金銭面からも、これが最良のバランスだと思いました。

ですから、ボクは現地の不動産屋とメールでやり取りし、いくら出せばどの程度の物件が長期レンタル(もしくは購入)できるかを下調べし、今回のバンコク旅行は、その現地視察だったのです。

ところが、シーロムで爆発事故が起きた頃から事態は怪しくなってきました。

シーロムと言えば、思いっ切りボクがコンドミニアムを探していた近辺です。

「タイの銀座」と呼ばれるタニヤ通りのあるところで、この通りのお店は日本語が通じます。

さらに、その次の候補地であったアソーク近辺も、もはやデモ圏内に入りつつあります。

そして、現地の不動産屋から、「いつ地下鉄が止まってもおかしくない。それどころか、電気・水道・ガスを止めると政府から通達も来ており、バンコクはジャングル同然の状況に陥る可能性が高い」と連絡があり、今回の渡航は断念しました。

【理由2】

前にブログに書きましたが、日本だって、ギリシャのように、いつ国家破綻をしてもしてもおかしくありません。

日本の債務のほうがはるかに大きいのですから。

そして、その時にリスクヘッジについても書きました。

日本が、今後もこの平和を維持しつつ、ずっと地球の楽園でいられる可能性は極めて低いと考えています。

その場合、外国でも暮らしていけるだけの生活力や知恵が求められます。

そして、ボクが目を付けたのがタイでした。

資本主義経済が飽和してしまった今、今後の発展が見込まれるのは、タイ、インドネシア、ベトナムあたりでしょう。

もちろん、南米やアフリカもいずれは発展するのでしょうが、まだまだ治安もインフラも悪すぎます。

ボクは、日本が国家破綻に陥った時に慌てなくていいように、タイで生活できるだけの力を、これを機会に蓄えようと思っていました。

実際、日本を見限って、タイのチェンマイに移住する人が後を絶ちませんが、ボクはまだまだ日本を信じたいので、いきなりタイに移住することはありません。

ただ、「理由1」で述べたように、タイとの二重生活をしていれば、いつ日本がどうなっても安心、という「安心料を買う」という意味合いもありました。

だけど、こうしたデモは悲しくなりますね。

元タクシン派のデモ部隊に参加している人なんて、せいぜい1万分の1程度です
(タイには6,000万人が住んでいますから)

こんなごくわずかな人々の心ない行動で、一番迷惑を被っているのはタイの善良な国民ですし、彼らの行動は、自国を弱体化させているだけです。

実際、ここにも一人、デモさえなければタイに行って、外貨を落としていた人間がいるのですから。

これでは、次回の総選挙でどちらが勝っても、またデモに突入でしょう。

また、王政転覆主義者も、どさくさまぐれにデモに参加しています。

せっかく、これからの大いなる経済発展が見込まれているのに、その芽を自分たちで摘んでどうしようというのでしょうか。

貧しいカンボジアだって、昔は豊かな国でした。

ただ、70年代のカンボジア内乱で、貧困にあえぐ国になってしまいました。

タイだって、ここでかじ取りを一歩間違えば、カンボジアの二の舞です。

赤服(UDD)には、即刻、デモをやめて欲しいものです。

それにしても、財政破綻したギリシャでは、公務員の給与カットやリストラ策が発表されたら、公務員のデモが発生しましたが、彼らもなにを考えているんでしょうか・・・。

以下、日本の話になりますが・・・。

企業が経営が破たんしたら、当然、社員の給与・賞与はカットされ、リストラもされます。

実際、この2年は、日本もそうした時代でした。

では、国家公務員は誰に雇用され、誰から給料をもらっているのでしょう。

彼らは自分でリスクを負っている個人事業主でしょうか?

でないことは言うまでもありません。

彼らの雇用者は国です。

その給料は、ボクたちの税金です。

その雇用者たる国が財政破綻寸前なのですから、国家公務員の給料の2割カットは当然のことです。

だから、民主党もマニフェストにそれを明記し、この点については、超党派で議論が進められてきました。

ところが、昨日、この「2割カット」が見送られました。

しかし、日本では国民のデモが起きている様子はありません。

もちろん、これまで述べてきたように、デモは自国を疲弊させるだけなので、断じて行うべきではありませんが、国民全員が痛みに耐えている中、国家公務員だけは給料がカットされない事に対して、これといった積極的な議論もなされない。

日本人の民度は極めて高く、その平和性は恐らく世界一でしょう。

でも、物事には限度があると思うのです。

日本は、本当にこのままでいいのでしょうか?

日本の破綻はもうすぐそこまで来ている。

そう思うのはボクだけでしょうか?






アマゾン2部門(ミステリー部門、文庫小説部門)で1位獲得!
→ 『無限ループ』


twitter → http://twitter.com/atsushi_omura


→ [公式]大村あつしグルっぽ