ナンセンスな「ジョネレーション論」 | 大村あつしオフィシャルブログ「ボクは不死鳥」Powered by Ameba

ナンセンスな「ジョネレーション論」

「ジョネレーション論」というのは、いつの時代も存在します。

そして、必ず「10年置きに若者の思想や文化、習慣はめざましく変わる」と帰結します。

もちろん、このこと自体は間違いではないのですが・・・。

たとえば、「昭和一桁世代」

文字どおり昭和一桁に生まれた人で、明治生まれの厳格な両親に育てられ、戦争に参加した人々です。

そして、「昭和二桁世代」というのは、昭和10年~19年に生まれた人で、戦争に参加はしていませんが、子ども時代に戦争を体験している世代です。

このあたりまでは、戦争体験を軸にしているので、「そのジェネレーションはこういう人だ」と言うのは、そのまま当てはまります。

ところが、「団塊の世代」を論じ始めると、このジェネレーション論は途端に信憑性が著しく落ち始めます。

ボクたちは、「団塊の世代」と聞くと、学園紛争ばかりしていた人を思い出します。

実際、当時のヒット曲であるフォークソングをBGMに、ヘルメットに口には手ぬぐい巻き付けた姿でデモをしている当時の光景をテレビで嫌というほど見せられました。

だけど、これって思いっきりミスリードなんですよね。

すなわち、ごく少数の「変わった事」「当時としては革新的な事」をしている人を大々的に取り上げて、まるでその世代(その10年間に属する人)は、みんなそうであったかのような虚像をでっち上げるわけです。

そして、当時を知らないボクたちがその情報を受け取る時には、その虚像が真実になってしまうわけです。

では、団塊の世代の人に、「ヘルメットかぶってデモやっていましたか?」と聞いたらどういう返事が来るでしょう。

恐らく、100人中99人が、「ニュースでは見てたけど、自分はやってないよ」と答えると思います。

しかし、この一般的な99人より、革新的な1人と、そうした1人の集団を報道した方が面白い。

結果、団塊の世代は、怒りのぶつけ場所がなくなって学園闘争をしていた人々、という間違った認識が植えつけられるわけです。

ちなみに、ボクの属する昭和40年代生まれは「新人類世代」と言われました。

この名付け親は筑紫哲也さんらしいのですが、

・自己中心的
・目上の者に敬語を使わない
・初体験が(当時としては)異常に早い

などと散々な言われ方をしましたが、ボクは自分の周りを見渡しても、目上の人にため口をきくような人は見た事がありませんし、テレビが報じるように、「中学生のうちに初体験を済ませてしまう」なんて大嘘です。

都会の事情はわかりませんが、少なくともボクの中学では初体験を済ませた人は、いても多分2、3人でしょう。

狭いコミュニティですから、そんな「大事件」が起きたら筒抜けなんですよね(笑)

しかし、マスコミに、「これまでの常識が通用しない新人類」とレッテルを貼られ、実際社会に出たら、ちょっと自分の意見を言うだけで「団塊の世代」である上司から「これだから新人類は生意気なんだ」と言われたものです。

でも、どちらも虚像なんです。

どちらも、間違えた情報を元に、曇りガラス越しに相手を見ている事に、当人が気付いていないだけなのです。

ところが、「新人類」であるボクの世代は、今では社会のけん引役とも言うべき年齢になりました。

会社では、課長以上の役職についている人が少なくありません。

そして、そんな友達と話をしていると、新入社員のことを嘆きながらこう言います。

「まったく、『ゆとり世代』には常識が通用しないよ」

もう、自分が「新人類」で、昔はねつ造された虚像を元に「敬語も使えない非常識人」と言われていたことなど忘れて、たまたま自分の部下が非常識だっただけで、個人の個性など無視して、十把一絡げで「ゆとり世代」という言葉で囲い込んで評価しようとするわけです。

しかし、技術、文明、文化の発達や多様化によって、それは新人類とゆとり世代では趣味嗜好が違うのは当たり前ですが、圧倒的大多数は、ねっこの部分はそれほど大きく変わっているはずがないのです。

ただ、昔の世代の人が見たら考えられないような突飛な行動をするごく一部の人を大きく取り上げて、まるでその世代の人は全員が同じような行動様式であると論じて、そこに「ジェネレーション」という囲いを作るわけです。

「努力を知らないゆとり世代」と言われますが、ボクの友達の娘なんて、ボクが大学生以上の時に真面目に勉強してますよ(笑)

所詮は、ジョネレーション論なんてその程度のものだと思います。

大切な事は、自分が属するコミュニティだけで物事を判断して、世の中全体がそうであると色眼鏡で見てしまわないようにする意識ではないでしょうか。

この記事にあるように、卒論をケータイで書いてしまう86世代なんて、間違いなく圧倒的少数であるはずです。

しかし、その少数が多数であるかのように伝えられて、彼らは「86世代」と断じられ、死ぬまでそのレッテルが付きまとうわけです。

なんともナンセンスですね・・・。


卒論をケータイで書いてしまう「86世代」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1204933&media_id=90






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