また一人、会社を辞めました | 大村あつしオフィシャルブログ「ボクは不死鳥」Powered by Ameba

また一人、会社を辞めました

今日は、『サラリーマンだから貧乏ですが、なにか?』(以下、『サラ貧』)のお話です。





実はこの本、まだ5,000部ほどしか売れていないのですが、お返事を出さずにはいられないメールがこれまでに5通きました。

では、『サラ貧』のメールでお返事を出さずにはいられなかったメールとはどのようなものか。

それは、

(1)会社を辞める決心がつきました
(2)会社を辞めました

というメールです。

ちなみに、『サラ貧』の冒頭で、

「サラリーマンを辞めたくなっても、またサラリーマンになるのが嫌になってしまっても、責任は一切負えません」

と、1ページを丸々使って注意書きを書いてあります。

と、こんなことを言うと、「なんだ、独立起業を勧める本か」と思われるかもしれません。

しかし、そうではありません。

数日前のブログに似たようなことを書きましたが、経済の未来など誰にもわかりません。

ただ、過去のことはわかりますし、現在の姿もある程度はわかります。


さて、ここに「音楽」というものを聴いたことがないAさんがいるとします。

そこで、その人のために辞書を紐解くと、

音による芸術。音の長短・高低・強弱・音色などを組み合わせて肉声や楽器で演奏する。

と書かれているのでそう伝えます。

しかし、これでAさんは「音楽」を理解できるでしょうか?

伊坂幸太郎さんのデビュー作の『オーデュポンの祈り』という作品がありますが、なんでも知っている知識豊富なカカシが唯一、理解できなかったのが「音楽」です。

それは、文字や言葉で音楽の魅力を説明されても理解できるはずがありません。

では、Aさんに「音楽」を理解させるためにはどうしたらいいか。

これは、教える側の裁量に任されています。

ボクだったら、一も二もなくビートルズを聴かせます。

しかし、そんなボクの行動を見て「ナンセンスだ」という人もいるでしょう。

ある人はモーツァルトを、またある人はミスチルを聴かせるかもしれません。

そして、教える側とAさんとで共振したときには、Aさんは「音楽」の虜になるでしょうし、趣味が合わなければ、Aさんは「音楽は魅力がない」と感じるでしょう。


これは、「経済」にもそのまま当てはまります。

ここに、「経済」の仕組みがよくわからないBさんがいます。

このとき、「経済とはこういうものだよ」と教える側は、音楽同様にさまざまな人が現れるでしょう。

音楽が一つでないように、経済の理論も一つではないからです。

そして、ボクはビートルズこそが最高だと思っているように、経済の仕組みをもっとも簡潔に証明している本は、マルクスの『資本論』だと思っています。

もちろん、反対意見もあるでしょう。

少なくとも、ミクロ経済学者は反対の立場だと思います。

この場合、原論とミクロと両方知って、その上で読者が自分の心に流れ込んできた物をチョイスするのがベストだと思います。

ちなみに、『サラ貧』

「会社なんて辞めましょう」

という本では決してありません。

しかし、サラリーマンの給与が生活費とイコールなのはなぜか、一方で、どうして裕福な人がいるのか、それを、

・「物々交換」というもっとも原始的な商取引

・商品には「価値」と「使用目的」がある

・「貨幣」は単なる流通の仲介者ではない。この貨幣こそが貧富の差の隠れた真犯人である

と段階的に理詰めで説明していき、最後には、

「だからサラリーマンは基本的には生活費以上の所得は得られないんですよ」

という結論を導いています。

この解説はきわめて簡単で、途中で挫折する人はいないと自負しています。

ただ、マルクスの『資本論』をベースにしているので、当然、反論もあるでしょう。

読んだ方でも、「本当にそうなの?」という感想を抱く方もいらっしゃると思います。

そういう方は、恐らくミクロ経済学の本を読んだほうが腹に落ちると思いますので、残念ですが『サラ貧』は、ユーロビートが好きな人にバロック音楽を押しつけたようなもので、お役には立てないと思います。

ただ、これまで、3名の方から、

「会社勤めを続けるか悩んでいたけど、本を読んで背中を押してもらえました。いずれは、会社を辞めます」

というメールがきました。

そうした方には、

「少なくとも私は、サラリーマンの生活水準、給与水準は金融商品のような資産運用を除けばマルクスの『資本論』で説明がつくという立場です。
 また、同じ立場に立つ森永卓郎先生も拙書に推薦文をくださいました。
 しかし、別の立場から書かれた本もあるので、そちらもどうか参考にしてください」

とお返事を出しました。

残りの2名は、もう会社を辞めてしまったそうなので、激励の言葉を送りました。

繰り返しますが、『サラ貧』は独立起業礼賛物語でもなければ、ましてや「サラリーマンなんて辞めましょう」という本ではありません。

むしろ、「必要労働分の報酬は必ず受け取れるサラリーマンが羨ましい」くらいです。

ボクの仕事なんて、「この本を書くのに1年かかったので500万円ください」なんて世界ではありませんから。

何年かかろうとも、売れなければ報酬はゼロ円です。

しかし、サラリーマンのように剰余労働をする義務はありません。

こんな書き方をすると難しいですね(^^ゞ

ただ、この説明を理解したい方は、ぜひとも『サラ貧』をご一読ください。

2時間後には、「1+1=2」である、というのと同じレベルで理解できるようになっています。

もっとも、強く共振した人は、人生観が一変する可能性があります。

世の中の景色が違って見えるようになるかもしれません。

その覚悟を自己責任において持っていただければ幸いです。

いずれにせよ、あまり売れていない本ですが、大きな影響を受けた読者がいるという現実を考えると、身が引き締まる思いになりますね(*^_^*)





◆『サラリーマンだから貧乏ですが、なにか?』
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