ヒットの法則(百万円と苦虫女) | 大村あつしオフィシャルブログ「ボクは不死鳥」Powered by Ameba

ヒットの法則(百万円と苦虫女)

昨晩、先輩と遅くまで飲んでいたのですが、そのときに先輩の意見を拝聴しました。

先輩は、僕がサラリーマン時代の上司で、現在もプログラマー。

もちろん、小説も映画も「消費する側」で、クリエイターではありません。

ただ、当たり前ですが、最後に作品の評価を下すのは消費者です。

ですから、そうした方々の意見はとても参考になりますし、また、参考にしなければいけません。

その先輩が、『無限ループ』をとても誉めてくれたのですが、

「なぜ『無限ループ』が口コミだけでじわじわと売れ始めたのか、俺、わかるよ」

というのです。

先輩の分析は・・・

今は、まったく先が読めない展開というのは求められていない。

「きっとこうなるんだろうなー」と思いながら、だからこそ先が気になってページを繰って、実際にそうした展開になった時の「してやったり感」が満たされるのが楽しい。

が!

終盤にきっちりと、自分の「してやったり感」など打ち砕くどんでん返しがあって、そこではじめて、実は自分が作者の意のままに操られていたことに気付き、「きっとこうなる→実際そうなる」という展開が伏線だった事に感動し、そして、その感動を人に伝えたくなる。

「今受けている作品は、小説でも映画でもドラマでも、ほとんどこの法則に当てはまっているよ。そして、お前の『無限ループ』も、まさしくこの法則どおりの作品だから売れたんじゃない」

と言われました。

うーん。

わかる人にはわかるんですね。

先輩の言うとおり、まさしくボクは先輩が言った事を意識しながら作品を作っています。

まぁ、実際には、この法則に当てはまれば売れる、というほど甘い世界ではないのですが(^_^;)

邦画の傑作で「百万円と苦虫女」という作品があります。

主演は蒼井優さん(蒼井そらさんではありません(笑)で、蒼井優さんといえば「フラガール」が有名ですが、そのほか、「リリイ・シュシュのすべて」「花とアリス」「ニライカナイからの手紙」など、傑作に多数主演している、上野樹里さんに並ぶ日本映画界の宝です。

この蒼井優さんが主演している「百万円と苦虫女」は、百万円貯まったら、また別の街に引っ越す、という生活をしている女の子が、何度目かの街ではじめて男と恋に落ちるのですが、観ている人は

「これで普通に恋愛しても面白くない。
この男、絶対に裏があるぞ」

と予想するわけです。

そうしたら案の定、男は、女が自分のものになったとたん、金を貸してくれと何度もせがむようになります。

しかも、借りた金を返すような男ではありません。

女も、それを断れる性格ではありません。

もう、完全に予想どおりの展開です。

が!

最後に、まったく予想していないどんでん返しが待っていて、「うわ、そうきたか。やられた」と思うわけです。

そして、その感動を人に伝えたくなる
(だから、ボクも今、こうしてブログを書いているわけですが)

完全に「ヒットの法則」にはまっています。

タナダユキ監督、天才過ぎます!

実は、来週から、『エブリ リトル シング』の改訂版の作業に取り掛かります。

そうです。

20万部のベストセラーとなった『エブリ リトル シング』が再刊されるのです。

よりパワーアップして、6月15日に発売予定です。

この作品は、「ヒットの法則」にはまっていると自負しています。

6月15日が待ち遠しいですね(*^_^*)




上記の動画のオリジナルサイズは
→ http://www.youtube.com/watch?v=FCutFl0Uh8I

アマゾン2部門(ミステリー部門、文庫小説部門)で1位獲得!
→ 『無限ループ』


twitter → http://twitter.com/atsushi_omura


→ [公式]大村あつしグルっぽ